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エア・カナダ、業務渡航や上級クラスに手応え、ワイス氏&伊藤氏インタビュー

5年でアジア太平洋線が6割増
新型コロナも業界と協力しV字回復めざす

日本市場、あるいはアジア市場の現状をどのように認識されていますか

ワイス アジア太平洋では豪州と韓国の伸びが大きい。豪州は、以前はシドニー線だけだったが、メルボルンとブリスベンからバンクーバーに就航した。韓国もバンクーバー線にトロント線を加えた。それまで大きくネットワークが拡大してきたため、昨年はどの市場も伸び率はフラットだったが。

 日本市場の売上は、2013年から1.5倍に増えているが19年は横ばいだった。しかしビジネスクラスとプレミアムエコノミーの収益は非常に好調で、注力している業務渡航の売上も伸びている。アジア太平洋では、米国や中南米に飛ぶ場合にも非常に便利な航空会社であること、そしてプロダクトの優位性を訴求している。

伊藤 日本からカナダへの渡航者数は17年が約30万人、18年と19年が約25万人となった。一方、カナダからのインバウンドは増えていて、17年にはカナダ発と日本発が均衡し、2018年から逆転した。

 とはいえ、ACはローカル・トゥ・ローカルで旅客を運ぶ比率の高い航空会社であり、日本は売上の貢献度から重要性が高い。今後も路線の拡大を視野に入れるが、そのためには路線収支を向上していく必要がある。カナダ経由米国の業務渡航はまだ伸び代がある。また、フロントキャビンのレジャー利用も増やしていきたい。

ワイス 以遠路線は全体の2桁ほどあり注力もしているが、ACとしては日本/カナダ路線を売ることが優先になる。また、業務渡航も羽田/トロント線や成田/モントリオール線で確実に増えているが、米国のような大企業はカナダになく、市場拡大にはやはりレジャーが重要だ。

レジャー市場開拓についてお考えをお聞かせください

ワイス 日本市場は安定性があるため、カナダのサプライヤーも日本を大切にしなければいけないと分かっている。中国からの旅行者が急増してホテルが高騰したが、中国市場はまだ不安定なところがある。

 日本では、昨年末に六本木ヒルズで「Poutinerie By Air Canada」カフェをオープンしたように、カナダを売っていく努力をしていく。また、旅行会社をしっかり巻き込んでいくことも大切だ。一方で、ダイレクト予約も含めBtoCでもっと予約をしやすい仕組みも考えていく。

伊藤 ウェブサイトでのダイレクト予約、OTA経由の予約、既存のパッケージ商品、メディア商品、団体などプロダクトと流通チャネルが多様化しているなかで、レジャーでももっときめ細かい対応が必要だろう。

航空会社とGDSとの関係も変化しています。ACとしてはどのようなスタンスをお持ちですか。また、NDCの取り組みはいがでしょうか

ワイス 基本的には推奨GDSはなく、一般的な予約はいろいろなGDSとお付き合いを続けていく。NDCについてはNDCエクスチェンジに参加している。APIが繋がれば、日本でもアクセスできるようになるが、日本ではまだ進んでいないのが現状だ。日本はもう少し時間がかかるのではないか。

伊藤 グループブッキングについては、アクセスのマルチジャパン機能を利用していたが、今後は代替GDSを数ヶ月以内に決めたいと思う。