日本商工会議所、観光振興に向け提言、「国内旅行に数値目標を」

  • 2016年3月8日

「国民総参加」で展開拡大
到達可能な目標で「達成感」を

東京商工会議所の本部事務所(現在は仮移転中)  日本商工会議所(日商)はこのほど内閣官房と観光庁に対して、日本の観光振興に関する新たな提言「今後の観光振興策に関する意見~『新たな観光ビジョン』策定への期待~」を提出した。今後の観光政策の方向性について検討している閣僚会議「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」が、年度内にまとめる中長期的ビジョンへの反映をめざして取りまとめたもの。日商はこれまでにも定期的に観光関連の提言を政府に提出しており、昨年5月には「国と地域の再生に向けた観光振興について」を発表している。

 今回の提言は、日商観光委員会共同委員長でJR東海相談役の須田寛氏が、内閣官房副長官の杉田和博氏と観光庁長官の田村明比古氏に手交。日商によれば、杉田氏は手交に際し「訪日ビザ発給要件の緩和や歴史的建造物の利活用など、政府が取り組めることは積極的におこなっていきたい」とコメント。田村氏からは「日商の考えは、基本的に観光庁で考えている問題認識と同じ」との言葉が得られたという。

 新たな提言では、改めて観光を「重要な文化・経済活動」と捉えるとともに「地方創生や日本の成長の切り札」と認識。その上で「国民総参加による展開が必要」と強調し、地域や民間が観光振興に積極的に取り組めるよう、政府が国内外への観光に関して、より具体的な数値目標を設定することが必要との考え方を示した。

 提言の提出に際して、国土交通省内で業界誌向けの記者会見をおこなった須田氏は、15年の訪日外国人旅行者数が1974万人に上り、20年までの政府目標として掲げていた2000万人に早くも近づいたことについて「具体的な数値目標を掲げたことが後押しになった」との見方を示した。その上で国内旅行についても「到達可能な数値目標を定めて、施策を投入すること」の重要性を強調。「到達できれば達成感が生まれる」と説明した。

 なお、国内旅行に関して数値目標を設ける際には、宿泊者数や訪問者数などのデータについて集計方法を統一する必要がある旨を指摘。政府の主導による整備を求めた。

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