済州、大韓航空の成田・関空線継続で奮起、16年は10万人へ

  • 2015年11月15日

済州観光公社社長の崔甲烈氏  済州観光公社と韓国観光公社(KTO)は11月12日、旅行会社とメディア向けに「済州観光説明会」を開催した。大韓航空(KE)が冬ダイヤからの運休を予定していた済州/成田、関空線を、一転して運航継続に転じたことを機に実施したもので、来日した済州観光公社社長の崔甲烈(チェ・ガプヨル)氏は、日本の旅行業界の支援に謝意を述べるとともに、KEについては「大きな決断で感謝する」と強調した。

 崔氏はそのほか、日本のことわざである「石の上にも3年」を引き合いに出し、日韓関係が冷え込み始めた2012年からちょうど3年が経った旨を説明。「来年からは悪い流れも一変する。市場を盛り上げていきたい」と奮起した。済州観光公社によれば今年の日本人訪問者数は8万人程度となる見込みだが、来年については「10万人をめざす」という。

KE常務日本地域本部長の崔晶皓氏  KE常務日本地域本部長の崔晶皓(チェ・ジョンホ)氏は、「責任は重いが、日本人の利用客には済州島の素晴らしさを見せて、満足や幸せを提供していきたい」と意欲を示し、旅行会社の今後の商品開発に期待した。同氏は本誌の取材に対し、2路線の運航継続にあたっては済州観光公社やJATAなどから強い要望があったことを説明。KE会長の趙亮鎬(チョ・ヤンホ)氏と済州特別自治道知事の元喜竜(ウォン・ヒリョン)氏も会談したことを明らかにし、「決定を後押しした」と伝えた。済州観光公社によれば関西地区に多い日本在住の済州島出身者とその家族なども、運航継続に向け働きかけをおこなったという。

 KEの済州/成田、関空線は夏ダイヤと同様に、成田線は週4便、関空線は週3便で運航。同社は10月27日の運航継続発表時には「両地域の観光産業の活性化、日韓交流の活発化などをはかるため運航継続を決定した」とコメントしている。使用機材はともにボーイングB737-800型機で、内訳はビジネスクラス12席とエコノミークラス126席。成田線については夏ダイヤのビジネスクラス8席、エコノミークラス179席のB737-900型機から座席数を減らしたが、関空線については変更はないという。今後は日本人旅行者だけでなく、済州島から日本を訪れる旅行者の需要も取り込みたい考え。

KTO日本地域本部長の康重石氏  済州島出身であるKTO日本地域本部長の康重石(カン・ジュンソク)氏も、さまざまな事情により一度は運休が決定した2路線が、再び運航を継続することの重要性について述べ、「今日の会には非常に深い意味がある」と強調。また、このほど日韓首脳会談が実現したことや、中東呼吸器症候群(MERS)が事実上終息したことなどについて述べ「今後は良い雰囲気が続く」と予測した。来年から平昌冬期オリンピック大会が開催されるまでの3年間については、受入体制の整備、新たな商材の開発、各種イベントの開催、インセンティブの強化の4つを戦略の柱として注力するという。

 日本の旅行業界を代表して挨拶した日本旅行業協会(JATA)理事長の中村達朗氏は、KEの運航継続を「大変心強い」と評価。訪日韓国人旅行者が増加する一方、訪韓日本人旅行者数は低迷を続ける現在については「大変厳しい状況」と述べたものの、豊富な海産物や美しい景観に恵まれた済州島は、JATAが注力する地方送客においても大きな役割を果たす可能性を秘めていることを説明し、出席者に協力を求めた。

みかんさん(左)と小森純さん  この日の説明会ではそのほか、済州観光公社が最新の現地情報や、旅行会社への支援制度などについて説明。また、今後の済州観光を盛り上げる「観光応援団」として、タレントの小森純さんと物まねタレントのみかんさんを任命し、2人のトークで会場を盛り上げた。