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アジア太平洋地域は成長市場、LCCとの差別化など課題も-AAPA社長会

  • 2015年1月15日

 アジアの航空会社16社で構成される、アジア太平洋航空会社協会(AAPA, Association of Asia Pacific Airlines)の年に一度の社長会が先ごろ、東京・帝国ホテルで開催され、主要航空会社の経営トップがパネルディスカッションを実施した。「航空会社の戦略の進化・発展について」と題されたディスカッションでは、成長を続けるアジア太平洋市場を主要市場とする航空会社各社の方向性が示された。


・パネリスト
ガルーダ・インドネシア航空(GA)社長兼最高経営責任者(※取材時点) エミルシャ・サタル氏
マレーシア航空(MH)最高経営責任者 アフマド・ジャウハリ氏
キャセイパシフィック航空(CX)最高執行責任者 ルパート・ホッグ氏

・モデレーター
オリエント・アビエーション 主筆 トム・バランタイン氏


アジア太平洋市場を本拠地とする優位性を強調

CX最高執行責任者のルパート・ホッグ氏  AAPAに加盟する東アジアと東南アジアの航空会社16社は、いずれも世界で最も航空需要の成長が著しいとされるアジア太平洋地区を本拠地としており、その地政学的な優位性を取り込んで成長している。AAPA加盟航空会社を代表してパネリストとして登壇した航空会社の代表は、その優位性を意識した経営戦略を取っていく方針を示した。

 CXは今年8月に発表した14年上半期決算で総売上高が前年比4.6%増の508億4000万香港ドルと増加。最終利益は13.5倍の3億4700万香港ドルとなり、業績は好調だ。CXのCOOを務めるホッグ氏は香港を拠点とするメリットを強調。アジア太平洋地域だけでなく、世界の工場であり続ける中国にもアクセスが良い香港を本拠地とすることで「ヨーロッパ市場全体に匹敵する4億人以上の需要を対象とすることができる」ことの優位性をCXの強みに挙げた。また、航空機性能の向上により、香港から北米への直行便が可能になったこともCXにとっては優位に働いた要素であるとした。

MH最高経営責任者のアフマド・ジャウハリ氏  MHのCEOであるジャウハリ氏も、マレーシアを本拠地とする同社が東南アジア各国の経済成長の恩恵を受けていることを説明。「非常にダイナミックな市場が広がる場所に本拠を置いている」という点において、CXと同様の強みをもっているとの見方を示した。

 GAも経済成長著しいインドネシアを本拠地とすることの優位性を強調。ただし、社長兼最高経営責任者(※取材時点)のサタル氏は、航空市場がまだ未成熟なインドネシアでは「消費者がサービスに対する対価を払いたがらない傾向があり、サービス品質を運賃面に反映しづらい」とし、同国ならではの難しさも指摘した。