山形の岡崎屋旅館が破産開始、釧路キャッスルホテルは民事再生法申請

  • 2014年11月9日

 東京商工リサーチ(TSR)によると、山形県の岡崎屋旅館が10月31日に山形地裁から破産開始決定を受けた。また、北海道の釧路キャッスルホテルが11月4日に釧路地裁に民事再生法の適用申請をおこなった。

 岡崎屋旅館の破産管財人は遠藤法律事務所の遠藤涼一弁護士で、負債総額は債権者61名に対して6億円。TSRによると、同旅館は江戸時代中期に創業した老舗の温泉旅館で、蔵王で源泉掛け流しによる天然温泉の旅館を運営。スキーブームなどに伴い業務を拡大し、1994年7月期には売上高約4億円を計上した。

 しかしその後は、バブル崩壊による消費の減少や、スキー人口の減少により業績が悪化。また、2011年3月に発生した東日本大震災により集客力が低下し、2013年7月期には売上高は約1億8900万円に落ち込んだ。その後も借入負担が重荷となり、今期に入っても業績が好転せず、今後の見通しも立たないことから破産開始が決定した。

 一方、釧路キャッスルホテルの申請代理人は弁護士法人権藤・黒田法律事務所の黒田紘史弁護士で、監督委員には弁護士法人稲澤法律事務所の蓑島弘幸弁護士が選任された。負債総額は約9億6000万円。同社は、釧路キャッスルホテルと和食別館末広館を運営し、観光客や出張客による宿泊のほかウェディングや宴会でも利用され、1997年11月期の売上高は約13億8000万円となった。

 しかし、釧路市内に大手資本のホテルやビジネスホテルが相次いで進出し競争が激化。景気低迷に伴い個人消費も減少し、2013年11月期の売上高は約6億3000万に落ち込んだ。さらに、2014年9月から信用不安の拡大により資金繰りが悪化し、今回の措置となった。

 スポンサー企業としてはセンチュリーロイヤルホテルを経営する札幌国際観光が名乗りを上げており、今後は同社のグループとしてホテル事業、婚礼式場事業、宴会場事業を継続する予定。ホテルの不動産については釧路市内の事業者や財界人の協力を受けた新会社を設立して譲渡し、事業運営スポンサーに賃借するとしている。また、和食別館末広館については、釧路キャッスルホテルが営業を継続し、事業譲渡対価と飲食事業の収益を再生債権者への配当原資にするという。