観光庁、ツアーバス事故で違反確認-乗合バスへの一本化急ぐ

  • 2012年5月8日

 観光庁は4月29日に関越自動車道で発生した貸切バス事故に関連し、同高速ツアーバスの募集型企画旅行を実施した旅行会社ハーヴェストホールディングス(ハーヴェスト)本社に、旅行業法第26条第3項の規定に基づき、立入検査をおこなった。旅行の安全の確保、企画旅行の円滑な実施が適正であったかなどが観点。検査の結果、旅行者が提供を受ける旅行サービスの内容を明示していなかったという旅程管理義務違反などが確認された。当日はハーヴェスト社長は遺族対応で不在であったため、ハーヴェストの代表者が対応可能な日に再度検査を実施する予定で、その結果を踏まえて旅行業法違反がある場合は厳正に対処する方針だ。

 立入検査は4月30日と5月2日の2回、近畿運輸局職員の6名が実施。ハーヴェスト側は取締役などが対応した。事故を起こしたバス運行社の陸援隊は別会社を介し、ハーヴェストから運行を受託。ハーヴェストでは約2年前から、ゴールデンウィークとお盆、正月の繁忙期に委託していたという。観光庁では今後、実態把握を目的に、ツアーバスを取り扱う旅行会社約60社にも立ち入り検査をする予定だ。

 なお、高速ツアーバスについては、2010年9月に総務省から貸切バス事業の安全確保対策に関する勧告を受け、国土交通省自動車局、観光庁、警察庁、バス業界、高速ツアーバス業界、旅行業界、学識経験者、有識者などで構成する「バス事業のあり方検討会」を設置。今年4月3日に最終報告を取りまとめ、高速ツアーバス事業者に対して2013年度末までに乗合バスに移行することを求めるとしていた。しかし、今回の事故を受けて準備を加速させ、できる限り早め、前倒しで実施していくとしている。