現地レポート:英国、オリンピック年に文化イベントも充実

  • 2012年3月16日

オリンピックイヤーにあわせ文化イベントもアピール
スポーツにアートや演劇、シェイクスピアのエッセンスも

ロンドンオリンピック&パラリンピックに併せて
文化の祭典カルチュラル・オリンピアードを

スポーツと文化の祭典を一緒におこなうことは古代オリンピックの意義に基づくと熱く語るラス・マッケンジー氏  「オリンピックの精神はすべての国が戦争を止めること。古代オリンピックにおいてもスポーツと文化は並行して祭典がなされていた」というのは、カルチュラル・オリンピアードのディレクター、ラス・マッケンジー氏。そこで英国では、カルチュラル・オリンピアードという文化芸術プログラムを2008年からスタートし、ロンドンオリンピック&パラリンピックに際して、演劇などパフォーミングアーツ、音楽、映画などのイベントを数多く開催。16万9000人もの人々が参加する8300を超えるワークショップや無料コンサートも、1万人の規模で行なう。

世界中からのワールド・シェイクスピア・フェスティバルへの参加をまとめるディレクター、デボラ・ショー氏  ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーによる「ワールド・シェイクスピア・フェスティバル2012」もそのカルチュラル・オリンピアードの一貫。2012年4月23日から11月にかけて開催され、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーによる上演はもちろん、様々な国から招聘された劇団により、37言語にわたってシェイクスピアの作品が上演される。場所もロンドン、ストラットフォード・アポン・エイボンを中心に、エジンバラ、バーミンガム、ニューカッスル、ブライトンなど各地での上演となる。

日本から参加の蜷川カンパニーが上演するバービカン劇場にて  日本からはロイヤル・シェイクスピア・カンパニーと親交も深く、過去にも同劇団主宰のフェスティバルで上演をしている蜷川カンパニーが5月29日から6月4日にかけて「シンべリン」で、バービカン劇場に登場する。また、イラクの劇団による「ロミオ&ジュリエット・バクダット版」など外国や現代にその舞台を移した作品、子供向けの演目など全部で30のユニークな作品が上演され、演劇好きにはまたとない機会といえる。

チャーミングなストラットフォード・アポン・エイボンの街並みは、散策も楽しい  ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーのディレクターであるダニー・ボイル氏は、ロンドンオリンピック&パラリンピックのディレクターでもあり、開会式の演出にもシェイクスピアの演劇テーマが取り入れられるという。このロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの拠点があり、シェイクスピアが生まれ育ったストラットフォード・アポン・エイボンまでは、ロンドンから車や鉄道で2時間30分ほど。ヒースローから直通のバスもある。文学的な興味はもちろん、チューダー様式の美しい家が並ぶおすすめのエクスカーション先の一つである。