インバウンド、東アジア主要4市場の動向と対策-JNTO旅行振興フォーラム

  • 2012年2月8日

中国:訪日の回復は順調
自然環境・健康・癒しなどの関心に訴求できる素材

北京事務所長の飯嶋康弘氏  中国政府の対応が早く、メディアも協力的に動いたことから震災後の訪日は順調に回復してきている。相次ぐビザの緩和策など日本政府の後押しもあり、昨年11月には訪日中国人客数は過去最高を記録した。ただしインセンティブツアー、教育旅行、および超富裕層の動きはまだ鈍い。渡航先の8割がアジアという中国で、日本は価格での競争力は低いが、高品質のサービス、四季の魅力などの強いブランド力がある。「今後も価格競争ではなく、差別化をして需要を喚起していく」と北京事務所長の飯嶋康弘氏は語る。

 現在、中国では「自然環境(新鮮な水・空気)」「子供の楽しみ」「健康、癒し」などへの関心が高く、この分野に訴求できる新ディスティネーションの開発が急務だ。受け入れのポイントとしては「日本ならでのおもてなしの心」「(中国人客に対する)特別待遇」「情報提供の整備(ネット環境、中国語の表記、施設周辺の地図、中国語のテレビ放送など)」などがあげられた。またビジネスの基本として、個人主義の中国では情報は共有されにくく「キーマンを見極めて直接話をすることが大切」との指摘もあった。

 地域別にみると、北京近郊では、ピーク時のツアーの高騰が顕著で、ピークを避けて旅行をする傾向が出てきている。また震災報道はひと段落しており、現在は「あえて震災には触れずピーアールをしている」と飯嶋氏。

上海事務所長の小沼英悟氏  上海近郊では、日本は圧倒的な人気を誇り、特に周辺の江蘇省、浙江省での伸び率が高い。今後、期待できる市場として、旅行会社向けのセミナーは「江蘇省、浙江省、四川省などの内陸部の市場での開催をすすめる」と、上海事務所長の小沼英悟氏。上海では、旅行会社はセミナーに疲れ気味であり、むしろ一般旅行者向けに媒体やSNSを活用したピーアールが得策のようだ。また旅のスタイルは単なる観光から体験型に変化してきている点も押さえておきたい。

 広東省は、人口、GDPともに中国最大の省であり、香港発の情報も入りやすく個人観光の伸びも大きい地域だ。ただし「定期便が少なく日本への就航も4ヶ所に留まる。なかなか新規ルートの開拓が進まない」と広東省を管轄する香港事務所長の平田真幸氏は語る。セミナーには商品造成をする力のある旅行会社を戦略的に呼び込み、魅力あるモデルルートを提案。チャーター便利用に踏み切らせることが一つの突破口になりそうだ。