12年度新卒傾向、成長分野への関心・志望が増加-採用数は横ばいか減少

インバウンド強化をみすえた外国人採用
もともと「国籍不問」も多数

 外国人採用については、各社対応も様々だ。積極的に採用したいという旅行会社は約半数で、「訪日外国人取り扱い拡大のため」「出身国からの観光客を呼び寄せる」など、インバウンド推進を理由にあげる会社が多かった。

 JTBや日本旅行はもともと採用条件で国籍不問としており、その他の企業でも特別に外国人枠を設けていないと回答した会社もあった。国籍はやはりアジア圏が多く、中国、台湾、韓国国籍の外国人を採用したというケースがほとんどだった。一方で、電話でのオペレーター業務がメインとなる会社など、積極的な採用をしていないと回答したのは4社あった。また、新卒採用ではなく経験者(中途)採用であれば採用実績があるという企業もあった。

 このほか、採用後の外国人スタッフ育成に向けた社内プログラムに課題を感じているとの回答も見られた。外国人採用はインバウンドや海外展開など、今後の市場拡大を見据えた取り組みであるだけに、社内のみならず業界に枠を広げた勉強会や意見交換会などをして、対策を立てていく必要もあるだろう。


震災影響で採用活動は長期化
被災した学生対象に特別採用枠も設定

 東日本大震災の発生は、採用活動にもスケジュールが後倒しになるなどの影響があった。JTBでは、1回目の選考は一部グループ会社でエントリーシートの提出時期を延期した以外は計画通りに実施。しかし、2回目の選考時期は延期して、新たに設定。また、JTB東北の採用活動も延期した。

 日本旅行やKNT、IACE、日立トラベルビューローは採用時期を2ヶ月後倒しにした。同様に2ヶ月後倒しにしたHISでは、4月、5月の就職活動が困難な学生に配慮し、特別採用枠を設置。被災地域の出身、もしくは在住者で就職活動が困難な人を対象とし、総合職、エリア職あわせて30名募集した。

このほか、阪急交通社では東京での説明会開催を遅らせたり、トップツアーでは仙台地区での採用活動を、全体的に約2ヶ月後倒しにしたという。また、名鉄観光サービスは東北地域の選考スケジュールや会場を変更。クラブツーリズムでも選考時期を1ヶ月遅らせた。このほか、営業所における新卒者の要員配置数の見直しをした企業もあった。


※いずれも注記がなければ非開示を除いた場合の数値。