旅行業界の12年度新卒採用は後倒しの傾向-採用なし、今後採用活動の企業も

  • 2011年8月2日

 トラベルビジョンがこのほど実施した、2012年度の旅行業界における新卒採用状況の調査で、3月11日に発生した東日本大震災の影響で採用活動を後倒しにしている企業が多いことがわかった。今回調査を依頼した60社のうち、採用活動をおこなったと回答した11社のうち、採用活動を見直したり後倒しにしたのは10社だった。また、非開示を除いて応募人数が4000人以上となったのは3社で、非開示を除いて採用人数が100人を超えたのは2社のみだった。過去数年間の採用実績と比べると、年々減少、もしくは横ばいとなっている企業が多い。

 採用活動を後倒しにした旅行会社のうち、ジェイティービー(JTB)は、第2回目の選考時期を延期し新たに設定。阪急交通社は東京での説明会開催を遅らせるなど対応した。日本旅行や近畿日本ツーリスト(KNT)、アイエシイ・トラベル、日立トラベルビューローは採用時期を2ヶ月後倒しにした。また、東北地域や仙台での選考活動を見直した旅行会社もある。JTBグループではJTB東北の選考自体を一旦白紙にし、採用活動を延期した。トップツアーでは会社説明会への招待直後に震災が発生したため仙台地区の説明会から最終選考までを約2ヶ月遅らせている。名鉄観光でも東北地域の選考スケジュールや選考会場を変更するなど対応したという。

 採用人数については、ジェイティービー(JTB)は09年度が900人、10年度が550人、11年度が340人と減少傾向にあり、12年度は11年度並みに推移しているという。日本旅行でも09年度が132人だったのに対し10年度、11年度は20人から30人程度で12年度も若干名と回答。一方、クラブツーリズムは就業環境が整い退職者が大幅に減少したことから過去2年間の採用人数を100名以下にしていたが、現場からスタッフ増強の意見もあり12年度は115名を採用する。

 また、応募した学生の特徴としては各社女性の方が多く、JTBや日本旅行では旅行業界だけでなく地域振興のビジネスに興味関心のある学生が増加傾向にあるという。なお、今回取材依頼した企業の中には厳しい経営状況から新卒採用をおこなってない企業もあり、取材対象60社のうち21社が2012年度採用予定なしと答えた。