アクセスランキング、1位はイタリア3ヶ月無料−東北に行ってきました

  • 2011年5月14日
 今週は、イタリア政府観光局(ENIT)が始めた、原発事故の被害にあった母子をイタリアに招待するプロジェクトの記事が1位になりました。航空券を含めて最長3ヶ月まで無料ということで、その大胆な内容に注目が集まったのではないかと思います。今回の地震では、ENITに限らず諸外国の政府や行政機関が日本に対する支援を提供してくれていますが、旅行業界の恩返しとしては是非とも送客で返したいものです。また、お客様が「御礼として行ってみよう」と思って下さるようになればと願っています。

 また、2位にはジェイティービー(JTB)の田川博己社長のご発言を取り上げた記事が入りました。ゴールデンウィークはインターネットによる間際需要が強かったそうで、オンライン販売の重要性がさらに増すと予想されています。ランク外の記事ですが、楽天トラベルもゴールデンウィークの国内宿泊の取り扱いが前年比20.1%増となったといいます(リンク)。

 海外旅行について田川社長は、「あまり心配していない」と話されておりますが、この傾向が持続し、夏場に向けてさらに需要が盛り上がってほしいものです。先日お話ししたある大手旅行会社の幹部の方も、震災による落ち込みは4月上旬で下げ止まった、との見方を示されました。第2四半期に出発する予定のツアーでは、方面によってはすでに前年を上回っているとのことです。

 もちろん、“被災地”と呼ばれる場所で営業する旅行会社の置かれた状況は、こうした日本全体の動向とはまったく異なります。日本全体では未来に目を向けた話が始まる中で、取り残されている感覚を抱き、絶望的な気持ちになっても不思議ではありません。一方で、日本市場の存在感を示し続けるためにも、全体としての日本人旅行者数が必要であることも間違いありません。

 10位の記事では、実際に福島と仙台を訪れて感じた、このような“全体”と“個”のジレンマについて書きましたが、全体的かつ中長期的な取り組みを進めつつ、今すぐ救いの手を必要とする会社や個人に対して何ができるのか、それぞれの考え、実行していく必要があると思います。

 なお、福島と仙台を訪れた感想としては、「間違いなく旅行は可能です」でした。今回は、“旅行”の可能性を探るためにあえて被害の大きなエリアは訪問しませんでしたが、私の旅行中、“被災地”という言葉から連想されるような不便は、鉄道とバスでの移動、旅館とホテルでの宿泊、レストランでの食事を含めて一切ありませんでした。

 もちろん、仙台から西塩釜に出た際には痛ましい光景も目にしましたし、車窓からはブルーシートで覆われた屋根も見えました。しかし、テレビや新聞を通して抱きがちなイメージとはかけ離れています。このギャップは、まさに百聞は一見にしかず、です。

 福島についていえば、放射能の不安にどう対処するかが課題ですが、個人的には、行政あるいは旅行会社が放射能の測定機器を無料で貸し出すのも一案だと感じました。極端なアイディアかもしれませんが、言葉だけで不安を払拭するのは困難でしょう。

  仙台の復旧状況をいかにアピールするかも同様です。イメージの刷新のためには、膨大な量の情報で上書きする、大きなインパクトを与える、時間に任せるなどの方法があると思いますが、もし時間に任せるのでなければ、思いついたこと、できることを矢継ぎ早に実行していく機敏さが肝要であるはずです。(松本)


▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2011年5月第2週:5月9日2時〜5月13日18時)
第1位
イタリア、原発被災の母子にロングステイ無料提供−最長3ヶ月、航空券込み(11/05/10)

第2位
JTB田川社長、地震でネット販売の存在感増す−海外は「心配していない」(11/05/11)

第3位
観光庁、海外向けメッセージ発出−5言語で感謝と訪日アピール(11/05/09)

第4位
タイ国旅行業協会主催の大型視察団が訪日−156名参加、日本側との商談会も(11/05/11)

第5位
日系2社、GW国際線「確実に需要回復」−旅客数15%減も間際予約が好調(11/05/10)

第6位
ANAグ、11年3月期は最終黒字−震災影響額190億円も需要は底打ち(11/05/09)

第7位
シンガポールから震災後初の訪日ツアーで20名来日「また日本に来たい」(11/05/09)

第8位
ガルーダと中部、訪日旅行誘致促進事業実施、23名の旅行会社、メディア招聘(11/05/12)

第9位
トップインタビュー:中国南方航空日本支社長兼東京支店長の呉国翔氏(11/05/09)

第10位
東北旅行業の今、地場の旅行会社が求めるもの(11/05/11)