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AISO、東電へ原子力損害賠償請求へ−訪日市場の再生へ災害対策委員会を開催

 アジアインバウンド観光振興会(AISO)は4月21日、理事会議を開催し、東京電力に対し福島第一原子力発電所事故による原子力損害への賠償請求をおこなうことを決めた。このほか、4月7日に立ち上げたAISO災害対策委員会のメンバー、訪日客に対する災害発生時の緊急連絡体制についても決議。国際交流コーポレーション代表取締役社長の岡本立雄氏は、「我々AISOが生き残らなければインバウンドは受けられなくなる。業界のために、日本のために、“再建”ではなく“再生”しなければいけない」と話しており、インバウンド業界の危機的な状況を訴え、多方面から業界“再生”に向けて取り組む考えだ。

 東京電力への賠償請求ではまず、来週中に抗議文を提出する予定だ。抗議文では、今回の原発事故により、諸外国では日本への渡航自粛や注意を促すなど、インバウンド需要が低迷し、インバウンドを専門に取り扱う企業にとって収入が途絶え、企業存続が困難な状況であると訴えている。さらに、風評被害で被災地以外への渡航控えが起こっており、政府が成長戦略として掲げる観光立国の推進を妨げ、日本経済への損失につながる危機感を受け止めるべきと指摘。一刻も早い事故処理の完了と海外へ安全宣言を発するべきだと求めた。まずは事故処理の早期完了が重要ととらえており、その後の賠償交渉に向けては委員会の復興広報・事業サポートチームで今後つめていく。

 AISO正会員の33社のうち3社とは全く連絡が取れない状況で、6、7社は海外や西日本などへ機能をうつして対応しているという。こうした中、会員各社のほとんどが人員整理や給与削減などを実施するなど状況は深刻だ。岡本氏は、「最も優先すべきは雇用維持と企業存続に向けた取り組み」と話す。同日開催した災害対策委員会では、日本各地からメンバーが集まり復興広報・事業サポートチームと復興商品企画・造成チームに分かれて具体的な取り組みについて協議。具体的な内容について近日中にとりまとめ、会員へ通知する。


 なお、災害対策委員会メンバーは下記の通り。


▽災害対策委員会メンバー
委員長:王一仁氏/理事長/総合ワールドトラベル
副委員長:梅村文峰氏/専務理事/太陽トラベル
副委員長:釈順和氏/常務理事/総合ユニバーサルトラベル

・復興広報・事業サポートチーム
リーダー:岡本立雄氏/理事/国際交流コーポレーション
委員(以下同):吉田建氏/理事/農協観光
河村弘之氏/理事/トライアングル
柞山尚士氏/KNT ASIA
村山慶輔氏/ポータルジャパン
仁平章一氏/監査役
次田博氏/インターナショナルツアーアシスタンス

・復興商品企画・造成チーム
リーダー:ミッキー・ガン氏/常務理事/AISC
委員(以下同):野口義和氏/常務理事/時代村
石井一夫氏/理事/ジェイテック
清水和彦氏/アメガジャパン
浦邊英樹氏/ガリバーズ・トラベル・エージェンシー
杉山裕子氏/すぎやまクリエイト
朝倉英二氏/エーティーエス
友瀬貴也氏/ティ・エ・エス
マキリュウ氏/嘉南観光
中山英子氏/渋谷トラベルサービス
高蓮妊氏/富国アカデミー
笹田稔氏/ホテルマネージメントインターナショナル(HMI)
中川裕治氏/アパホテル
早川康一氏/マロウドインターナショナルホテル成田
葛バイ(※)紅氏/平成エンタープライズ(※は、くさかんむりの下に倍)
秋野森貞雄氏/ラッキー交通
岩月賢治氏/江戸一
亀谷丹氏/リバーサイドホテル
杉原啓太氏/光伸真珠
廣田保敏氏/三井ガーデンホテル舟橋ララポート
田原和彦氏/ドン・キホーテ
立谷洋一氏/ハートンホテル


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