観光庁、訪日外客受入整備へ戦略拠点を指定−交通情報提供や言語情報整備も

  • 2010年9月13日
 観光庁は9月9日、訪日外国人旅行者の受入環境整備に関する検討会の第1回会合を開催した。このなかで、訪日外国人3000万人プログラムの第1期である2013年度までの4年間を対象期間とし、外国人宿泊者数が多い市区町村や外国人入国者数の多い主要空港や港湾を戦略拠点と位置づけた受入環境整備を進めていく。2010年度は戦略拠点として5地域を選定。日本政府観光局(JNTO)が訪日外国人観光客に対して実施した調査の中から要望や不満の多い項目5つを重点事業分野に設定し、戦略拠点ごとに事業を実施する。また、各地域が自立的に事業を継続していけるよう事業を進め、他地域でも活用、普及させる考えだ。

 重点事業分野は、(1)交通網の包括的な情報提供、(2)街歩き情報・環境の充実、(3)多様な観光情報の提供、(4)言語対応サービス環境の整備、(5)地域(施設)全体での決済環境の導入の5項目。いずれもJNTO調査結果をふまえ選んだもの。(1)では、京都市でバス乗継案内システムを導入する。バス停付近の店舗などに端末を設置し、目的地を入力すると乗るべきバスを案内するというサービス。これによりバス利用の利便性を向上させるとともに、付近の商店や飲食店、観光情報をあわせて掲載することで掲載料収入を得て、自立運営可能な事業をめざす。(4)では、福岡市や博多港、福岡空港で多言語ガイドの人材育成プログラムを整備する。地域が一体となりガイドの研修を主催したり募集を実施。2010年度は中国語のクルーズ船寄港者向けツアーガイドを対象としてスキル向上をはかる。このほか、浦安市や広島市、横浜市を戦略拠点として整備事業を進めていく。

 また、こうした戦略拠点整備事業とあわせて受入環境の評価システムも構築する計画だ。次回は11月開催予定で、5地域での整備事業の進捗報告や評価システムについての具体的な内容について提示する。