全日空、LCC事業開始へ−運賃は大手の半額以下、11年度下期運航開始予定

  • 2010年9月10日
 全日空(NH)は2010年内に格安航空会社(LCC)を設立する。香港の投資グループ、ファーストイースタンとの共同事業として進めるもので、9月9日に出資について基本同意書を締結した。2010年内には新会社を設立する予定だ。NHとは全く別のビジネスモデルで展開し、NHブランド色も出さないことで新たな顧客層を開拓していく。関西国際空港を拠点とし、国内線と国際線を運航する計画だ。路線については未定だが、4時間圏内で運航可能なエリアを想定しており、東アジアや東南アジアなどへの運航が考えられる。運賃については、日系2社など大手航空会社に比べ半額程度に設定する方針を示している。運航開始は2011年度下期をめざす。

 新会社の出資比率は、国内投資家とNHあわせて66.7%で、このうちNHは40%未満。ファーストイースタンは全体の3分の1未満にあたる33.3%を出資する。代表者や資本金、商号などについては設立準備組織で検討していく。役員は出資比率に応じて就任する予定だが、社員は新会社が採用する。また、選択性サービスの有料化やシステムの自動化対応のほか、単一機種による単純折り返しパターンで運航することで低コストでの運航を実現する計画だ。今後さらなる日本企業の出資者も募集するという。

 なお、5月に発表された国土交通省成長戦略では、LCCの参入を促進するため環境整備をはかると言及。こうした具体的な政府の方針が示されたことも今回の共同事業開始を後押しした。