JNTO間宮氏、観光庁に強いリーダーシップを期待−体制強化にも期待

  • 2008年9月30日
 日本政府観光局(JNTO)理事長の間宮忠敏氏は9月29日の会見で、10月1日の国土交通省の外局としての観光庁設立を前に、「強いリーダーシップを発揮してもらい、これまで以上に緊密に連絡をとって政府観光局としての役目を果たしたい」と語った。観光庁設立の意義について、「観光立国を国民全体で進めるには『旗』が必要」とし、観光庁は国際的にも国内的にも「旗」振り役として象徴的な意味合いがある。役割では、「国際的に日本という観光商品のセールスを統括し、国内では質の高い商品を作り出す総元締め」とし、さらに観光に取り組む姿勢を伝える明確なメッセージとなることから、「観光に関わる全ての関係者のモチベーションの向上につながる」と語った。

 観光庁とJNTOの関係について間宮氏は、「JNTOが市場に足場を持ち、市場の情報を政策立案に活かしてもらい、JNTOが政策を実行する」点において、従来からの国交省との関係は変化しないという。ただし、観光庁設立で国策として観光立国の重要性が明確になり、「JNTOの役割はますます重要になる」と分析。その上で、「外国の人に日本の魅力をまだ伝え切れていない。需要の掘り起こしに打って出る必要」を強調する。ただし、現状は予算削減によるプロモーションの体制が「諸外国と比べて劣勢」であり、「体制強化は(2010年の1000万人達成後の)2000万人の達成に向けて喫緊の課題であり、観光庁にはリーダーシップを発揮して体制を強化してほしい」と訴えた。

 また、観光庁には「調整機能」も要望。「調整」は予算の効率的な使用と、関係省庁や諸外国との調整の2点で、特に諸外国との関係については、日仏交流150周年を例に挙げて「今は健全に競争しつつ、協調する時代」とのべ、二国間、多国間の協調にもリーダーシップを発揮するよう求めた。


▽2000万人に向けた体制強化

 6月に開催された観光立国推進戦略会議で、「観光庁の発足に当たっての観光立国に関する意見」が取りまとめられ、2000万人の目標が掲げられた。2000万人に向けた戦略について間宮氏は、「現在の12重点市場と3準重点市場では(達成は)無理」といい、新たな市場でのプロモーション展開が必要と語った。可能性のある市場は、訪日客の増加率が高い、人口が増加している、GDPが高い、などの指標に加え、資源国や日本との貿易関係の強い国などの着眼点を列挙し、具体的な例として「湾岸諸国やメキシコ、ブラジル、イタリア、スペインなどは有望な成長市場」と指摘した。

 新市場でのプロモーションは、「拠点を設立し、継続的にきめ細かく、頻度の高いプロモーション」が必要という。ただし、現時点では具体的な計画はなく、「まずは関係者が『2000万人』をしっかり認識し、そのために何が必要なのか考えることが重要」という。日本貿易振興機構(JETRO)や国際交流基金との連携、深化も進める意向で「オール・ジャパンとしての取り組みが必要」とし、例えばJNTOが拠点を設置していない地域で連携することも視野に入れる。また、経済産業省と農林水産省が実施する日本食の輸出促進イベントでの観光プロモーションにも取り組む方針を示した。