国交省、燃油サーチャージの総額表示で通達を発出−約款改定が今後の焦点か

  • 2008年7月1日
 国土交通省は6月30日、旅行パンフレットでの燃油サーチャージ額の表示方法について通達を改正した。パブリックコメントで慎重な対応をとるように求める意見が数件寄せられたものの、当初の改正案から変更はせず、原則的に旅行代金に燃油サーチャージを含めて表示する「総額表示」の徹底を求める内容となった。当分の期間、燃油サーチャージ額の目安を見やすい大きさで、旅行代金に近接して表示することも認める。改正により、旅行会社が作成するパンフレットは、この通達に従う必要がある。作成済みのパンフレットで9月30日までの出発分は、旧通達にそった対応でも可能だ。

 総額表示を実施した場合、旅行代金に近接して「燃油サーチャージが含まれている旨」を表示し、燃油サーチャージ額は明示せず、旅行契約が成立した後は、原則的に燃油サーチャージが変動しても差額の徴収と返金は行えない。一方、目安を表示する場合は徴収、返金ともに可能なため、旅行会社各社ではこの方法を採用する動きが顕在化している。

 パブリックコメントでは、「総額表示の場合、旅行会社にとってはツアー造成時と航空券購入時の燃油の差額負担をしなければならないリスクが発生する」ことから、目安の表示が妥当との声が寄せられた。航空会社からはこれまでも、燃油サーチャージを含めて仕入れ交渉をする新IT運賃の導入に否定的な意見が多く聞かれ、「総額表示」を実現しにくい状況もある。国交省ではこの状況に対し、旅行会社のリスク軽減を目的に、燃油サーチャージ額の変動による差額徴収と返金をしやすくすることを目指して約款の見直しも視野に入れており、これにより、総額表示へ移行していくことにつながりそうだ。

 なお、パブリックコメントでは、「本来航空会社が伝達、集金するものでありながら、旅行会社にその業務を押し付け、旅行会社はその業務を添乗員に押し付ける構図は改善すべき。添乗員(特に派遣添乗員)の労働環境、処遇の改善が社会問題化しつつある現代において、早急なる改善が必要」との意見も提出されており、現場への押し付けに懸念する声もあがっている。



▽関連記事
CO・ダンカン支社長、新IT運賃より運賃値上げ−総額表示は約款見直しが必要(2008/06/25)

燃油サーチャージは旅行代金の一部−国交省、通達案策定し総額表示推進へ(2008/06/13)

ルフトハンザ日本支社長のベンツ氏、新IT運賃に「燃油6ヶ月固定は難しい」(2008/06/11)

CXウッドロー支社長、新IT運賃は「困難」−低額サーチャージ維持し需要喚起(2008/06/09)