消費者庁、旅行業法は国交省と共管−具体的な運営方法は夏頃までに確定

  • 2008年6月16日
 政府が2009年度の設立をめざす消費者庁で、旅行業法を国土交通省と共管することが決定した。当初は完全移管の可能性も検討していたが、消費者庁では、消費者利益の擁護と促進の目的から行為規制の企画と立案を国交省と共管し、観光産業の保護や促進などの側面は国土交通省、あるいは2008年10月1日設立予定の観光庁が所管することとした。6月中に基本計画を策定し、2009年度の早い段階での設立をめざす。

 旅行会社にとっては、業務が煩雑になるのか否かといった点が懸念されるが、現時点では旅行業法で消費者庁が所管する部分が決定しただけで、その運営方法は未定であり、実際の影響は不透明だ。内閣官房消費者行政一元化準備室によると、「当該業務を担当する人員の異動が必要で、その詳細は夏の機構・定員の要求の前に決定しなければならない」といい、「誰が何人移るか」が決定すれば、業務の内容も決まるとの見通しだ。

 消費者庁設立後、旅行業の登録は国交省が所管し、その情報を消費者庁と共有。取り消しや命令などの処分は国交省が所管するが、処分する場合は消費者庁との事前協議が必要。また、消費者庁は処分の勧告権を持つとともに、勧告に基づく措置について報告を受けられるようにする。これにより、特定の旅行会社により消費者の不利益が発生した際に、処分を勧告できるようになる。また、その不利益の発生が業界全体にわたる問題であった場合は、旅行業法の改正も検討する。

 また、検査は国交省が所管する一方、消費者庁も、処分勧告するかどうかを判断するために、独自に検査を実施できる。この点について一元化準備室は、「国交省と消費者庁で別に検査を実施すれば、事業者の負担が大きくなることから、チームを組んで同時に実施するなど負担を軽減できるよう検討する」としており、二重行政の回避と企業への負担軽減に努める姿勢を示している。


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