ジャルパック次期社長の高橋氏、「世界一質の高い旅行商品を提供する会社に」

  • 2008年6月4日
 ジャルパックの次期社長に内定している高橋哲夫氏(現:ジャルロイヤルケータリング代表取締役社長)は、就任に向けた抱負として「商品の質向上の強化」「人の力を最大限引き出せる体制整備」「需要喚起につながる取組み」の3つの考えを示した。「ジャルパックという歴史と伝統があり、海外旅行という夢を提供できる商品を作る会社で働けることを名誉に思うと同時に、責任の重さを感じている」と述べ、「梶社長の業績に負けないように取り組みたい」と意欲を語った。
 
 具体的な戦略や方針は「就任後、梶社長の取組みを引き継ぎ、JALグループの営業会社の一員である立場を踏まえながら、全役員・社員と一緒に考えていきたい」とした上で、現在の考えとして上記の3つを披露。「商品の質向上の強化」については、「良質な商品を提供して喜ばれるのがジャルパックの使命。現在も商品力はあるが、さらに高めたい」とし、特にツアーガイドや現地のホテル、観光業者などを含めた現地の手配力、海外のオペレーションを強化していく考え。

 また、「人の力を最大限引き出せる体制整備」の必要性として「旅行商品は人が作って人に接して楽しんでもらうもの」と語り、チームワークを高めて商品力と販売力の向上をはかる。「需要喚起につながる取組み」では、特に若者の海外旅行需要の低迷に触れ、「新商品の開発などで、マーケットを刺激していきたい。業界で協力し、全体の需要喚起につなげたい」とする。こうした取組みで「安心して高品質な旅行に出かけてもらい、ジャルパックのリピーターを増やしたい。世界一の質の高い旅行商品を提供する旅行会社にしていきたい」と力強く述べた。


▽セグメントにあわせた多様な運賃の開発を

 高橋氏は1974年に日本航空(JL)に入社し、26年間を営業・販売に携わってきた。また、ジャルセールスでJALグループの販売体制の再編に関わった経歴がある。

 近年、JLがビジネス路線を拡大しレジャー路線を縮小することに対するジャルパックへの影響について、高橋氏は個人的な見解と前置きした上で、「観光用座席が減少しているのは事実だが、今後は増えることもありえる。羽田の第4滑走路、成田の第2滑走路の遠心など受け皿が拡大し、JLもチャーターを含め、何らかの対応をするだろう。JLの戦略の中でジャルパックも良質な旅行商品を造り、戦略を立てていく。ジャルパックが伸びてJLも伸びるよう、出来る限りJALグループの座席を有効活用していきたい」との認識を示した。

 また、高橋氏は2004年のJATA国際観光会議で、APEX運賃のパッケージ利用に積極的な考えを示した。APEX運賃の活用について現在は「エコノミークラスの運賃が観光需要に与える影響は大きいと思う。JLやその他の航空会社には、個人型観光用APEXだけでなく、さまざまなマーケット、セグメントにあわせた多様な運賃の開発をお願いしていきたい」と、新たな展開を示唆した。


▽梶代表取締役社長、高橋氏への期待

 代表取締役社長の梶明彦氏は新体制について「改めてジャルパックが日本の旅行業の発展に資するため、新体制を組んだ」と説明。高橋氏については「国際旅客部門のプロフェッショナル」と紹介し、JLの国際旅客部では梶氏が部長、高橋氏が課長として一緒に仕事をしていたという。

 梶氏は2003年の就任以降、さまざまな改革に着手し、2007年度で増収増益の黒字を達成したが、「課題は依然として山ほどある。企業は常に新しい経営が課題を追求し、それが繋がって強化される」と語った。特に、ジャルパックが誇る品質については「単独で改善できるのはパンフレットの見せ方くらい。そのほかはホテルや航空会社、レストランなど、パートナーとの協業体制で品質改善となる。世界のパートナーとの連帯感を高めていくことが必要だ」とエールをおくった。


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