アジアでのIC乗車券の相互利用実験開始へ−国交省の検討委が中間報告

  • 2007年12月19日
 国土交通省が設置するIC乗車券等国際相互利用促進方策検討委員会は12月18日、第4回委員会を開催し、中間報告に2009年度、韓国や香港、シンガポールなどの国々と共同で、相互利用の実験を開始することを盛り込んだ。IC乗車券は、ICチップや読み取り方式の規格が各国で異なり、現状では相互利用ができない。同委員会では、1枚のIC乗車券でアジアの各都市の交通機関を利用し、シームレスな旅行を実現することを目的としており、実現すれば交通機関だけでなく、電子マネーとして商品の購入も可能となる。実施国は、このほか中国やタイなどにも打診しており、実験の詳細内容とともに、2008年3月に最終報告をまとめる予定。

 実験は、(1)IC乗車券の国際的発行ネットワークの形成、(2)IC乗車券の国際的決済システムの形成、(3)アジア各国の規格に対応可能な共通IC乗車券の開発の3種類。国際的発行ネットワークの実験では、出発国で相手国のIC乗車券をインターネットや出発国の旅行代理店、航空会社のチケットオフィスで事前購入し、到着後すぐに利用を開始できるシステムの構築を試みる。国際的決済システムでは、クレジットカードによる後払い方式を採用。出発国のクレジットカードに相手国のIC乗車券の機能を事前に付与し、滞在中の利用分はクレジットカード会社が利用者に請求するというもの。

 アジア各国の共通IC乗車券の開発は、現在、日本で使用されているスイカやパスモなどをそのまま使えるようにはならないものの、委員会の目的に最も近づく方式。共通IC乗車券が各国の改札機の電波を自動的に検知し、各国の乗車券として機能する仕組みの新たな開発をめざす。

 なお、委員会には日本航空(JL)と全日空(NH)も参加しており、共通IC乗車券が実現した後の航空業界との連携に注目が集まる。国土交通省総合政策局情報管理部長の井手憲文氏は、「(連携を)もちろん視野に入れている」と明言。先日の弊紙インタビュー(関連記事参照)で、陸上交通との提携の可能性を示唆した大韓航空(KE)からも協力を得られているという。


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