観光白書、国内宿泊回数は再び減少局面−有給取得で2.1兆円の消費拡大に

  • 2007年6月13日
 政府は6月12日、「平成18年度観光の状況および平成19年度観光施策」、いわゆる観光白書を閣議で了承した。今年度の観光白書は、先ごろ成立した観光立国推進基本法の成立に関して改正経緯と制定の意義などを盛り込んでいるほか、国内で統一的な統計を始めていることを意識してコラムで取り上げているほか、一部地方の宿泊データを盛り込むなど、政策面で大きく前進した取り組みを意識したもの。第1部の第2章には観光による経済効果として、産業別に旅行消費額、生産波及効果、雇用誘発効果を明記し、幅の広がりのある観光産業を位置づけている。

 このうち、観光の現状は国民一人当たりの国内宿泊観光旅行回数、宿泊数については暫定値であるものの、再び下降線をたどった模様。回数は昨年の1.77回から1.73回、泊数は2.89 回から2.77回へとそれぞれ下降した。これは特に愛知万博の反動の影響もあることから、確定値が待たれるところだ。海外旅行は平成12年度以来1700万人台を記録した昨年に引き続き、1700万人台で平成12年に次ぐ記録。

 消費額については宿泊旅行では前年比1.4%減の16兆4100億円、日帰り旅行が2.7%増の4兆6600億円、海外旅行の国内消費額は前年同の1兆7000億円、訪日外国人旅行者のついては3.9%増の1兆6500億円との推計。


▽有給取得で2兆1560億円の消費増大

 また、既にパブリックコメントを開始している観光立国推進基本計画で言及している平成22年度までの観光旅行消費額30兆円の目標についても今回の観光白書の中で言及。訪日外国人旅行者の増加、団塊世代の退職による余暇活動の拡大、働く世代の有給休暇取得率の上昇の3条件を下に、平成17年度比で平成22年には29兆6600億円と推計。増加分の内訳は自然増が5.0%増で23兆9230億円、訪日外国人消費が50.8%増の2兆4810億円、団塊世代の影響で1兆1010億円、余暇増大により2兆1560億円を推計している。

 余暇機会の増大については日帰り、宿泊を分け、その旅行内容に家族で旅行する割合が45%として推計したものだ。有給の取得増については、既に国交省では国内旅行需要喚起のための休暇のあり方懇談会、日本ツーリズム産業団体連合会(TIJ)の事業では休暇改革など幅広く観光産業として提案がされているもの。例年、観光白書で有給取得による観光への波及効果について言及してきたが、官民一体で取り組む基本計画の中でも大きな取組みとなりそうだ。