OECD観光委、国交省などと意見交換−観光は「学」でなく情熱が必要

  • 2007年6月1日
 OECD観光委員会議長でスイス経済省観光局長のピーター・ケラー氏が来日、国土交通省をはじめ日本旅行業協会(JATA)、日本ホテル協会などが集まり、日本・OECD官民観光セミナーを開催した。主な議題は観光統計、観光産業の人材育成、観光産業の生産性の向上と新たなビジネスモデルの確立に向けた取組み。日本側から、官民の取り組みを紹介、OECD側からそれに対する意見質問など、観光に関する意見、認識を共有したもの。

 特にケラー氏が指摘したのは、人材育成に関して。日本側からは人材育成に関して旅館が主に中小企業であることから高スキルの人材確保が難しいこと、旅行業では人気職種のひとつであるものの離職率が30%ほどと高いことも紹介。また、近年は観光を専門とする大学、大学院の高等教育が進みつつあることを説明した。ケラー氏は観光業では各種の知識や経験だけでなく、「情熱が必要だ」と強調。また、ヨーロッパでは学位が取りやすいことからツーリズムの学部に入ることも多いと指摘し、「観光は『観光学』にしてはいけない。観光学の教授、学士や修士号に対して、他の産業と比べて大きな尊敬があるわけではない」と指摘し、常にスキルアップしていくような生涯学習型である必要を力説した。

 日本側からは一例として、北海道大学の大学院教育で今年から観光学を設置。概ね30名の入学者のうち半数が現場での経験を持って入学していることを紹介。観光産業での経験を踏まえて入学してくることに対して、ケラー氏も興味深い傾向と共感を示した。