アジア・ゲートウェイ構想、羽田の戦略的利用を提言−現実的な政策盛り込む

  • 2007年5月17日
 政府はアジア・ゲートウェイ構想を取りまとめ、「航空の分野がアジア・ゲートウェイ構想実現の最大の焦点」と言及し、スピード感のある航空自由化の推進など、政策の大きな転換を促す内容となった。また、経済関係の拡大、観光、教育、文化など人的、知的、文化的交流の意義を認め、「社会をさらにオープンにする」ことをうたう。

 中間取りまとめにおいても、航空自由化が焦点となり、議論を呼んだが、最終報告ではより具体的な内容に踏み込んだ。アメリカ流のオープンスカイでは無い、「アジア・オープンスカイ」として航空自由化を推進。特に関西国際空港、中部国際空港は国際拠点空港として路線の開設、増便が実現できるように自由化を二国間交渉で進める、とした。地方空港も観光振興の観点から、さらに自由化を進める、として冬柴国土交通相が言及した地方空港は98%が自由化した状態という内容を踏襲したかたち。焦点となっていた首都圏の空港は、「当面、戦略的に活用するとともに、将来の容量拡大等をにらみ、さらに自由化について検討する」と現実的な方向を採用しつつ、自由化にも注文をつけたかたちだ。

 このうち、首都圏空港でも羽田については深夜早朝利用が可能な時間に、欧米を含めた国際チャーター便の就航を推進し、アクセスの改善なども施策を打つよう提言。昼間の時間帯には、現在、中国と交渉中の上海・虹橋へのチャーター便に加え、北京オリンピック期間中の国際臨時チャーター便を実現することまで盛り込んだ。これにあわせ、各論として羽田国際線ターミナルの拡張、CIQ体制の整備、関空が積極的なプロモーションをしている「羽田−関空−海外」の路線展開や乗継利便の改善にまで言及し、関空の二期滑走路の活用という観点も入ったもの。


▽観光、インバウンドへの期待も感じる内容に

 アジア・ゲートウェイ構想では政府が掲げる2010年1000万人の訪日外客数の目標に加え、安倍首相が国際会議の誘致で「今後5年以内に開催件数を5割以上伸ばす」(第165回国会施政方針演説)と目標に掲げている。こうした目標にも配慮し、戦略的な日本文化の発信、また日本文化の育成するためのスキームなど、「最重要項目10」に盛り込んだほか、重点7分野にも「日本の魅力の向上・発信」として人的交流の拡大に向けた政府としての方針を打ち出した。

 魅力の発信の点では日本ファッションウィークなど国内外のイベントで発信を強化するほか、国際建築家連合2011年東京大会でのアピールなども盛り込んだ。特に、こうした魅力発展の拠点として国際空港を捉え、商品、食文化の発信、体感の拠点として活用することも政策として盛り込んでいる。