外務省、危機管理セミナーを開催、海外での現地情報の収集を呼びかけ

  • 2007年3月20日
 外務省は19日、東京で海外進出企業と海外赴任者のための危機管理セミナーを開催、一般企業を中心に約150名の担当者が参加した。セミナーは外務省が日本各地で開催しているもので、世界各地で多発するテロ、紛争や事件、感染症などの企業の対応について、安全対策責任者、現地駐在員とその家族の安全対策の重要性について周知することが目的。

 第一部では、外務省領事局参事官の菅沼健一氏から、同省が行う海外安全ホームページなどを通じての情報提供と、在外公館を中心とした24時間体制での支援活動の概要、および新型インフルエンザとその対策について解説。また、アジア大洋州局日中経済室長の松本盛雄氏は、日中間の経済関係が相互に重要度を増しており、中国でのビジネス展開するリスクとして、日本との政治体制の違い、地域格差、保健衛生、地方政府ごとの法令や規則の違いなども念頭に置き、情報収集を欠かさずに行うこと、企業間で現地の情報を交換するなどネットワーク構築の重要性を指摘した。

 第二部では、「どのようにして海外で身の安全を守るのか」をテーマに、有識者が参加したパネルディスカッションを開催。コントロール・リスクス・グループ代表取締役社長の山崎正晴氏からは「企業における、海外拠点のマネジメントレベルでの安全教育が不足しており、リスクに対し現地を中心に速やかに対応できるサポート体制を整備すべき」と指摘。これに対し、伊藤忠商事の長谷川善郎氏は、「企業の海外安全担当実務者として、社内のリスク・コミュニケーションの活発化、他社との意見交換など積極的なネットワークの構築、情報収集を意識し、社内でリスクに敏感に対応することが重要」という意見が出た。