冬柴国交相、中国重視の観光施策でビザ緩和と来年のイベントを伝える

  • 2006年12月5日
 12月2日から3日の2日間、冬柴鉄三国土交通大臣が中国を訪問、邵偉国家旅游局長、楊元元民航総局長などと会談した。冬柴国土相は大臣就任時から、観光面で中国を重視する姿勢を示しており、特に「障害が何かを見極める」と言及しており、邵国家旅游局長との意見交換でその内容を明らかにした。

 これは特に日本側のビザ発給について、家族などを想定した3人から5人程度のビザ発給を認める方向で調整を進めていくという意見表明。日本側では今後、外務省や警察庁との調整を進めていくこととなるが、大臣同士での会合でこうした方策を述べることの意味は大きい。

 また、邵局長とは来年の日中間の観光交流イベントの方向性についても話合った。具体的な事業としては、来年3月に日中観光交流年の締めを行うが、日本側から「これが終わりでなく、はじまり」という意見を表明。中国側もこれに同意し、広州で開催するイベントでは観光交流年の成功を祝うと共に日中国交正常化35周年とスポーツ・文化交流を活性化するスタートとしての意味合いも兼ね合わせて実施する。

 このほか、来年の日中韓3ヶ国大臣会合を中国の青島・大連で開催するが、これに合わせて世界の観光の発展、および日中韓の観光業の発展を議論するシンポジウムの開催が提案。このほか、秋を目処に日中観光友好交流大会について中国側から提案。これは、日本/中国間に就航するうち日本から中国19都市を訪問してもらい、各都市1000名程度、合計1万9000名を目途として各都市で交流イベントを実施する。

 このほか日本の桜前線に合わせ、中国から日本を訪れること、もしくは日本から中国で咲く桜の鑑賞をするツアーなどにより、相互交流を図ることも意見交換された。今後、国交省では各観光関係の団体、自治体を通じて具体的なツアー、交流事業を実施していく考え。


▽羽田/虹橋線には両者で合意

 安倍首相が訪中した際に言及した羽田/虹橋線について、冬柴国交相と楊民航総局長が意見交換。これについては、虹橋空港が国内線限定で利用することとしていることから、CIQなどの設備が無く、発着枠も限られていることが中国側から言及。この問題については、日中間で実現する方向性には合意をしたものの、今後は中国側で課題について整理、対応方法などを検討し、こうした枠組みが決まり次第、事務レベルでの協議になると見られ、現時点では日本側は中国側の対応を見守る考え。


▽参考記事
<冬柴国交相、2010年の1000万人に向け、「制度上の障害を取り除く」>
http://www.travelvision.jp/modules/news1/article.php?storyid=26013