観光立国推進基本法、今国会期中の成立を目指す、観光立国に総理も責務ある

自民党は先の総選挙マニフェストにおいて観光基本法の改正を公約として掲げ、現・経済産業大臣の二階俊博氏の命を受け、藤野氏が座長として観光基本法改正に向け自民党内では1月末から検討を進めていた。
観光基本法改正のポイントは題名を「観光立国推進基本法」と改めることにある。政府の施策としてビジット・ジャパン・キャンペーンが展開されているが、インバウンドだけでなく、国民の観光旅行促進の重要性を認識し、国内、海外旅行の活性化も目指す。また、地域振興も地方自治体が活性化に向けた取組みとして観光に対する期待を示しており、藤野氏は「国是とも言える」というほど、多くの自治体が本格的な取組みを進めているところ。国、地方自治体を含む地域、民間のそれぞれが責務を法案に明記したことも特徴となる。
藤野氏はこの法案を受け、「観光立国推進基本計画」として、観光の全体についての目標、施策をえがくマスタープランについて現実的には観光関連に縁の深い「国土交通省が主導する」というが、「一省庁が策定したプランというより、国家としてのプラン」と語り、閣議決定することで、「政府全体、総理としても責務がある」との考えを示し、改正法が観光立国にむけた地場固めであるとの考えを示した。
▽現在、検討されている観光立国推進基本法案、前文
観光立国推進基本法案要鋼
観光は、国際平和と国民生活の安定を象徴するものであって、その発達は、恒久の平和と国際社会の相互理解の増進を念願し、健康で文化的な生活を享受しようとする我らの理想とするところである。また、観光は、国際相互理解の増進のみならず、雇用の機会の増大、地域経済の活性化等国民経済のあらゆる領域にわたりその発展に寄与するとともに、健康の増進、潤いのある豊かな生活環境の創造等を通じて国民生活の安定向上に貢献するものである。
我らは、このような使命を有する観光が、今後、我が国において世界に例を見ない水準の少子高齢社会の到来と本格的な国際交流の進展が見込まれる中で、地域の住民が誇りと愛着を持つことのできる活力に満ちた地域社会の実現を促進し、我が国固有の文化、歴史等に関する理解を深めるものとしてその意義を一層高めるとともに、豊かな国民生活の実現と国際社会における名誉ある地位の確立に極めて重要な役割を担っていくものと確信する。
しかるに、現状をみるに、観光がその使命を果たすことができる観光立国の実現に向けた基盤の整備及び環境の形成は、いまだ不十分な状態である。このため、我が国を来訪する外国人観光客数等の状況は、国際社会において我が国の占める経済的地位にふさわしいものとはなっていない。これに加え、国民のゆとりと安らぎを求める志向の高まり等を背景とした観光旅行者の需要の高度化、少人数による観光旅行の増加等観光旅行の形態の多様化、観光分野における国際競争の一層の激化等の近年の観光をめぐる諸情勢の著しい変化への的確な対応の十分に行われていない。
これらに適切に対処し、外国人観光旅客の来訪の促進等による国際観光の振興を図りつつ、地域において国際競争力の高い観光地を形成すること等により、観光立国を実現することは、二十一世紀の我が国経済社会の発展のための不可欠な重要課題である。
ここに、観光立国の実現に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、この法律を制定する。