世界の旅行者、8億人を突破、今年も4〜5%の成長見込まれる

  • 2006年1月26日
 世界観光機構(UNWTO)はこのほど、2005年の全世界の旅行者数は初めて8億人を突破、04年が7億6600万人から05年は8億800万人と推計され、前年比で5.5%増を記録した。増加基調は昨年に続くもの。UNWTOは04年に10%増を記録した伸びを継続、04年の増加率から下がったものの、長期予想の年4.1%増を上回ることに好感している。

 地域別ではアフリカが10%増、アジア7%増、南北アメリカ6%増、中東7%増、ヨーロッパは4%増。日本を含む北東アジアは10%増で、台湾が15%増(1〜10月)、中国が13%増(1〜11月)、日本が9%増(1〜11月)などとなっている。また、05年初に懸念された津波の影響でモルディブは39%減、スリランカは0.4%減と報告。インドネシアもバリでの事件を受け9%減となっているようだ。ただ、これらの地域については回復の基調が現れるデータもあり、今年は本格的なリカバリーとなる見込み。

 なお、2006年は全世界の訪問者による伸び率は4%から5%が想定されている。特に世界経済の上昇傾向などが材料視されており、ユーロ圏の経済を牽引するドイツにも注目が集まる。
 UNWTOは懸念材料は、テロの発生、燃油価格、鳥インフルエンザ。テロについては世界的にも経験を積んだことから、回復は短期間としているが、燃油については現段階では大きな影響ではないものの、需要増のけん引役となるアジア経済の成長を妨げるようになると注意が必要との見方。また、鳥インフルエンザは現段階で最も大きな懸念事項。ヒト/ヒト感染への変異がいつ、どこで起こるかわからないが、現時点で旅行を取りやめる理由にはならないとの見方だ。

※世界観光機関はこれまでWTOとの標記でしたが、世界貿易機関もWTOの標記で国際的に分かりにくいとのことから、UNWTOとの標記に変更したことに準拠しました。