外務省、新型インフルエンザの危険情報発出はWHOに先立つことも、JTBセミナーで

  • 2006年1月17日
 ジェイティービーはこのほど鳥インフルエンザと新型インフルエンザ対策セミナーを開催、海外駐在員や海外出張者を従業員として雇用している企業の担当者など約100名が集まり、各講師の話に熱心に耳を傾けた。

 この中で外務省領事局政策課首席事務官の橋場健氏は、外務省の対応について説明。世界保健機構(WHO)が新型インフルエンザがヒトからヒトに感染するフェーズ4の段階と指定した場合、「機械的に渡航情報を上げることもあるが、どこで、どのように発生するかが見えてこないと対応は予測しづらい」と断った上で、「判断の遅れが無いようにしたい。WHOと合わせることもあれば、それ以前に出す可能性もある」と言及。また、フェーズ4の段階で邦人が在住する都市での感染と、邦人がいない地方でのヒト/ヒト感染では「全く同じ対応となるかは、検討中」と危険情報を上げる明確なラインには言及しなかったものの、「外務省自体も出張の是非を検討する段階」という。

 また、補正予算で在外公館でのタミフル確保については「医療事情の悪い地域を中心に(タミフルを)確保する対応は採っている。しかし、あくまでも『最後の手段』として人道的な対応の備え」と言明。在外公館に常駐する医務官も現地の医師免許を持っていないことから、医療行為はできないことから、「専門的な立場から助言、相談に応じるほか、現地の医療機関への連絡、調整する」とし、自主的な予防策についても促した。

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 同セミナーで講演した海外勤務健康管理センター所長代理の濱田篤郎氏は、渡航先での予防策として「家禽との接触を避けることが一番大事。意外と市場などに行ってしまう」ことから、感染の疑いのあるものには近づかないことを強調。また、「ウガイ、手洗い」を細めに行うことも重要な予防策と紹介。
 また、海外、日本を問わず、インフルエンザの流行は考えられるが、「医療対応を考えると日本の方が良いのでは」と示唆したものの、「採算性や地域との連携、人命尊重との間で退避や旅行の中止、残留の決断を迫られる」と言及。流行するフェーズ6の段階では「交通機関の運航自粛も考えられ、帰国できない場合も含めて対応を検討する必要がある」として、アメリカやイギリスなどの医療事情と他国の医療事情に違いがあることも踏まえ、出席者に対して対応の検討を促した。

 なお、JTBの対応としては企画旅行についてはJATAのガイドラインに従い、流行する該当エリアの催行は中止。該当地域以外は、書面で注意を喚起し、最悪の場合は海外80支店で病院一覧の作成をしていることから、これを基に対応する。手配旅行については情報を提供した上で各企業へ判断を一任。ただし該当地域への添乗については中止する方針だ。