バリ州知事、来日し国交大臣など訪問、現在の安全対策を強調し、訪問促す

  • 2005年11月1日
 バリ州知事のデワ・ブラタ氏が爆破事件後1ヶ月という節目に来日、関係各所を周り、現在のバリの状況を伝えると共に、安全面での対策を説明し、日本人訪問者の再訪を訴えた。ブラタ氏は31日、国土交通大臣の北側一雄氏、自由民主党の日本・インドネシア議員連盟の代表として自民党幹事長の武部勤氏、山崎拓氏、二階俊博氏を表敬したほか、外務省で現状を説明、夜には旅行業界と懇談した。
 北側大臣は哀悼の意を表明し、「バリにとって観光は重要で、日本人も多く訪れる地。年間30万人が訪問しており、今回の事件は日本人海外旅行者にとって大きな不安材料だ。安全の確保には万全を期して頂きたい」と激励。ブラタ氏もインドネシア政府としての安全策やバリ島で具体的に講じている策を伝えた。

 ブラタ氏の来日はこれまでの日本人旅行者の訪問に感謝すると共に、バリの現状を伝えることだ。会見したブラタ氏は集まった記者に対して、3年前と今回のテロの性質が違うことを強調。3年前の事件で、車を使ったテロには対応を強化していたが、今回の自爆テロのような対策は薄かったという認識を示したが、既に警官1万1000名、自警団3万人が自爆対策も含め、警備を実施していることを伝えた。テロ対策については「先進国でも起こりうるので保証は出来ないが、今回の経験を活かし、自爆テロにも対処している」と現状を述べた。特に、現在のところ、主要な入り口での警戒態勢に加え、身分証明書の提示を店などでも求めており、バッグを開けて内容物を確認するなど徹底している。
 また、記者からは、警備とバリの雰囲気の両立についても訪ねられ、「リラックスを目的に訪れた旅行客の気分を害さないように、警官は私服で厳戒態勢の様子を表に出さないように配慮」していることを紹介。自警団は以前から、民族衣装を身にまとって警備しているため、リゾート地、さらにバリらしい雰囲気の演出にも一役買うかたちだ。

 また、10月2日時点の来島者は2500人、出発者は7000人と事件後は避難の側面も色濃くあったが、10月25日時点では入島者が2600人、出発者は4000人となり、オフシーズンであることを考慮すると、訪問は若干少ないものの、出発は平常どおりに戻っている。ブラタ氏は「事件の発生後、観光客は減少したが、11月に少しずつ回復しているという報告もある」とし、1ヶ月での回復度合いは2002年のテロ事件とは異なる傾向であると語っている。