環境省、南極地域の観光シーズンを前に届出・確認申請を業界通じ周知

  • 2005年10月25日
 環境省は南極地域の観光旅行のシーズンを迎える11月を前に、改めて南極環境保護法に基づく届出、および確認申請の周知を図っている。環境省地球観光局環境保全対策課の桝厚生氏によると、南極を訪れる日本人のうち約8割程度は保護法に基づく届出、申請がされているものの、完全に履行されている状況ではないことから、旅行業界を通して消費者、特に海外在住の参加者に対しても周知を徹底したい考えだ。

 南極へ上陸した日本人観光客は、国際南極旅行業協会(IAATO)の資料によると2003年度は770人で、観光客に占める割合が5%ほど。ただ、観光客の総数は増加傾向にあり、世界全体では2003年度は1万9886人、2004年度は2万2000人に近づく状況だ。こうした南極大陸に上陸する場合、環境保護に関する南極条約議定書を締結する日本を含む31ヶ国はそれぞれの国の法律に従って手続きが必要だ。
 日本についてはアメリカ系企業のクルーズに乗船し、南極大陸を訪れるケースが多い。この場合は旅行代理店などが参加者から届出書類を一括して環境省へ提出するよう進めている。また、日本企業が南極大陸への観光旅行を実施する場合、確認申請書類が必要だが、環境省では、書類を閲覧しながら詳細な手続きを案内するとしている。なお、この場合の実例として郵船クルーズの飛鳥が南極大陸に上陸した1件が先例としてある。
 こうした実態を踏まえ、環境省では、旅行会社が海外の旅行会社、クルーズ船社などが主催する南極訪問を組み込んだツアーを販売する場合、現地で英語による理解を促進するため、出発前に環境保護についてのレクチャーし、注意点を述べて欲しいとしている。