JATA、バリ島へ現地情勢視察のミッション派遣、業界も現地と協力
日本旅行業協会(JATA)海外旅行委員会の安心安全部会はこのほど、バリ島での爆破事件を受け、現地に治安情勢の調査などを目的とするミッションを派遣、バリ州知事、警察関係者、現地旅行業関係者らとも会談した。今回のミッションを踏まえ、バリ島観光の復興を目指す方策は6つ。JATAとしては(1)ホテル、レストラン等の選定にあたり、従来より一層、セキュリティ面を配慮する、(2)JATA会員業者は外務省スポット情報を個々の旅行者に対して従来より一層、周知徹底する、(3)JATA会員業者の接客担当者などを対象としたファム・ツアーを早急に実施する。
バリ島で活躍する観光関連業社との協力は不可欠である。この認識の下、(4)バリ観光局(BTB)、バリ・ラサ・サヤンなどを通じ、バリの観光関連業者に対し、それぞれの事業実施にあたり、セキュリティの向上を要請する。また、JATAから地元警察に対し、(5)所要の警備体制強化を要請するとともに協力するほか、(6)バリ州知事の早期訪日の実現に向けて努力する。
今回、JATAが派遣したミッションは6日に出発するという異例の早さ。1日夜の事件発生を受け、3日には安心・安全部会を開催して対応を協議。その中で早期のミッション派遣を大枠で決めていたものの、現地サイドは10月5日から正月にあたるお祭り「ガルタン」の休暇と重なり、知事などとの会談をセットするには難航も予想される局面。だが、こうした時期的な問題は、日本サイドと現地サイドが今回の事件が市場に与えるインパクトを考慮。特に、安全面の確認、テロ対策に対する危機感を日本・現地で共有、さらにバリ島の観光を盛り上げ、自助努力を怠らないといった方向性でも一致。早期のミッション派遣の実現に至ったものだ。
現地旅行業界との懇談では、クタ地域でカメラの設置を検討していることが言及。また、現地のホテル協会では現在の警備状況がホテル毎になっていることから、共同で知識と体制を共有する方向性などが紹介。日本側も可能な範囲で協力する考えを表明している。
▽バリ島へのミッション団、要人訪問し、官民一体の対応が重要との認識で一致
今回のJATAのミッション団はバリ州知事のデワ・ブラタ氏、バリ州警察署長のマンク・パスティカ氏、バドゥン県知事のアナック・アバン・ラデ・アグン氏らの要人を訪問し、現状の把握と日本旅行会社の要望を伝えた。バリ州知事のブラタ氏はJATAとの会談において、犠牲者に対する哀悼の意を表明した上で、「世間では今回の事件を『2回目』というが、『3回目』、『4回目』を許してはいけない」と語り、今回の事件の影響について強い懸念とともに、今後の安全対策について強い意志を示した。また、ブラタ氏はバリ州政府だけでなく、島民が一体となって安全対策を講じる官民一体の対応が重要との認識を示している。特に、インドネシア政府として大統領からの指示で「早急に対応している」と言及、具体的にはバリ島への入国経路となる海港、空港、ジャワ島からのフェリーを使う陸路の出入口の安全強化を進めていることを紹介。JATA側は知事への早期の日本訪問を要請し、前向きな返答もあった。
さらにブラタ氏は、バリを訪問する観光客に対して、(1)行政、警察、民間が連携する官民の取り組み、(2)従来からの警備体制の強化と犯行の全容解明とテロ対策の充実・強化、(3)継続的なテロ防止対策、(4)治安情報の伝達の4点から州政府として事件の再発を防ぐ取り組み書面で示し、バリ島への訪問を促す声明を発出した。
バリ州警察署長のパスティカ氏は捜査が重要であるものの、JATAミッション団に対して、今後の対応の見通しについても示唆。短期的な対策として警備が必要な場合、到着時から出発時まで警護をするなど柔軟な対応ができると表明する。ただし、中長期的な対策としては、バリ島に根付く伝統的な自警団の組織を強化することで、警察とバリ島民が一体となった対応が必要との認識だ。また、バリの伝統舞踊のケチャックやバロン・ダンスを披露する場所についても、会談中に警備を強化することを指示。特に、観光の雰囲気も考慮し、私服警官などが待機する場所もあるという。また、バリ警察当局として、警備体制が優秀なホテルをランク分けし、年1度に表彰している。こうした継続的な努力も引き続き実施し、セキュリティ面での向上に努めているという。
バドゥン県知事のアグン氏はこれまでの日本人訪問者に対して感謝の意を表明。同時に日本人の犠牲者についても、自らの管轄県で起きたことから改めて哀悼の意を示した。さらに、事件の影響による回復へ懸念を示し、既に県として市町村の取りまとめ役らを集め、自警団の強化を依頼しているという。特に、自警団については警備の質を向上するため、警察の指導を受けることも必要としており、協力体制を築いている。また、観光客の求める自然や雰囲気を維持しながら、知事として出来る安全策を講じる前向きな姿勢も示す。特に、警察への援助については予算を配分し、議会での承認を前提として警備強化に繋がる機器の購入などで支援する方針だ。
バリ島で活躍する観光関連業社との協力は不可欠である。この認識の下、(4)バリ観光局(BTB)、バリ・ラサ・サヤンなどを通じ、バリの観光関連業者に対し、それぞれの事業実施にあたり、セキュリティの向上を要請する。また、JATAから地元警察に対し、(5)所要の警備体制強化を要請するとともに協力するほか、(6)バリ州知事の早期訪日の実現に向けて努力する。
今回、JATAが派遣したミッションは6日に出発するという異例の早さ。1日夜の事件発生を受け、3日には安心・安全部会を開催して対応を協議。その中で早期のミッション派遣を大枠で決めていたものの、現地サイドは10月5日から正月にあたるお祭り「ガルタン」の休暇と重なり、知事などとの会談をセットするには難航も予想される局面。だが、こうした時期的な問題は、日本サイドと現地サイドが今回の事件が市場に与えるインパクトを考慮。特に、安全面の確認、テロ対策に対する危機感を日本・現地で共有、さらにバリ島の観光を盛り上げ、自助努力を怠らないといった方向性でも一致。早期のミッション派遣の実現に至ったものだ。
現地旅行業界との懇談では、クタ地域でカメラの設置を検討していることが言及。また、現地のホテル協会では現在の警備状況がホテル毎になっていることから、共同で知識と体制を共有する方向性などが紹介。日本側も可能な範囲で協力する考えを表明している。
▽バリ島へのミッション団、要人訪問し、官民一体の対応が重要との認識で一致
今回のJATAのミッション団はバリ州知事のデワ・ブラタ氏、バリ州警察署長のマンク・パスティカ氏、バドゥン県知事のアナック・アバン・ラデ・アグン氏らの要人を訪問し、現状の把握と日本旅行会社の要望を伝えた。バリ州知事のブラタ氏はJATAとの会談において、犠牲者に対する哀悼の意を表明した上で、「世間では今回の事件を『2回目』というが、『3回目』、『4回目』を許してはいけない」と語り、今回の事件の影響について強い懸念とともに、今後の安全対策について強い意志を示した。また、ブラタ氏はバリ州政府だけでなく、島民が一体となって安全対策を講じる官民一体の対応が重要との認識を示している。特に、インドネシア政府として大統領からの指示で「早急に対応している」と言及、具体的にはバリ島への入国経路となる海港、空港、ジャワ島からのフェリーを使う陸路の出入口の安全強化を進めていることを紹介。JATA側は知事への早期の日本訪問を要請し、前向きな返答もあった。
さらにブラタ氏は、バリを訪問する観光客に対して、(1)行政、警察、民間が連携する官民の取り組み、(2)従来からの警備体制の強化と犯行の全容解明とテロ対策の充実・強化、(3)継続的なテロ防止対策、(4)治安情報の伝達の4点から州政府として事件の再発を防ぐ取り組み書面で示し、バリ島への訪問を促す声明を発出した。
バリ州警察署長のパスティカ氏は捜査が重要であるものの、JATAミッション団に対して、今後の対応の見通しについても示唆。短期的な対策として警備が必要な場合、到着時から出発時まで警護をするなど柔軟な対応ができると表明する。ただし、中長期的な対策としては、バリ島に根付く伝統的な自警団の組織を強化することで、警察とバリ島民が一体となった対応が必要との認識だ。また、バリの伝統舞踊のケチャックやバロン・ダンスを披露する場所についても、会談中に警備を強化することを指示。特に、観光の雰囲気も考慮し、私服警官などが待機する場所もあるという。また、バリ警察当局として、警備体制が優秀なホテルをランク分けし、年1度に表彰している。こうした継続的な努力も引き続き実施し、セキュリティ面での向上に努めているという。
バドゥン県知事のアグン氏はこれまでの日本人訪問者に対して感謝の意を表明。同時に日本人の犠牲者についても、自らの管轄県で起きたことから改めて哀悼の意を示した。さらに、事件の影響による回復へ懸念を示し、既に県として市町村の取りまとめ役らを集め、自警団の強化を依頼しているという。特に、自警団については警備の質を向上するため、警察の指導を受けることも必要としており、協力体制を築いている。また、観光客の求める自然や雰囲気を維持しながら、知事として出来る安全策を講じる前向きな姿勢も示す。特に、警察への援助については予算を配分し、議会での承認を前提として警備強化に繋がる機器の購入などで支援する方針だ。