国交省、概算要求の観光部関連で1.27倍の48億円、重点化を鮮明に

  • 2005年8月29日
 国土交通省はこのほど、平成18年度予算の概算要求を取りまとめ、一般会計予算は前年1.15倍となる7兆5488億円とした。予算は国交省の重点4分野とする安全、環境、活力、くらしで重点化する。このうち、観光については活力として位置づけられており、観光立国の推進を引き続き展開する。国交省総合政策局の観光部門での予算はビジット・ジャパン・キャンペーンや観光ルネッサンス事業などを含み、今年度実績の37億8800万円の1.27倍となる47億9900万円を要求。このうちVJCについては40億円、観光ルネッサンス事業は5億3500万円の内訳となる。なお、国際観光振興機構(JNTO)については例年から微減となる22億6900万円の交付金となる。
 観光関連予算についてはVJC、観光ルネッサンスなどを包括的に「戦略的な日本ブランドの発信と国際競争力のある観光地づくり」として今回からまとめたのが特徴。これまでVJCで外客誘致を進めてきたが、同時にリピーターを育成するための魅力的な観光地作りも重要性が増していく中で、一体となった考え方が必要になってきている。こうしたことから、2010年までの1000万人の実現に向けて広範囲に施策を展開しながらも、予算配分として重点化することを明確にしている。
 既に公表している重点施策にも盛り込まれているが、VJCでは事業の客観的な評価と効果の高い施策に集中化、重点化する方向。特に来年は日中観光交流年としているほか、中国・台湾・韓国からの若年層の訪日を促していく。また、相互交流の観点から、二国間会議などにおいて、訪日を促すと共に出国日本人の強化を訴え、イン・アウトを一体として考えていく。また、リピーターへの魅力を打ち出すための観光ルネサンス事業は、商品開発や人材育成だけでなく、公共事業者の行う外国語・ピクトグラムの案内表示等の整備について補助する。

▽総合政策局観光部の体制を強化へ、4課から6課体制へ
 観光関連の施策を高度化するにあたり、来年度から現在の総合政策局観光部を4課から6課体制にしていく考え。現在は企画課、国際観光推進課、観光地域振興課、旅行振興課がそれぞれの役割を果たしているが、この体制を役割分担を鮮明にし、名称を変更する。国際観光推進課を「国際観光課」としてインバウンドだけでなくアウトバウンド振興を含めた相互交流を推進する役割を持たせるほか、旅行振興課を「観光事業課」として旅行で関連する事業者を含んだ幅広い旅行事業を統括する役割とする。
 この上で、新たに加える2課は観光経済課と観光資源課。経済課については、宿泊統計、観光白書、政策評価を行うほか、旅行需要の促進や外客誘致、ユニバーサルデザインなどを担当。資源課は人材育成や通訳案内士のスキルアップに関するプログラム、観光カリスマ塾の運営のほか、文化観光や産業観光などの新たな素材を開発し、育成することを含む。また、こうした体制の強化は地方運輸局についてもおよぶ計画で、今後は戦略的な観光促進体制を作り上げる。