エクスペディアG、AI活用など30超の機能拡充 旅行計画から予約・顧客対応まで3ブランドで強化

  • 2026年10月29日
Expedia

 エクスペディア・グループは10月28日、エクスペディア、ホテルズドットコム(Hotels.com)、バーボ(Vrbo)の消費者向け3ブランドで、AIを活用したサービスを中心に30以上の新機能・機能改善を発表した。旅行先での体験提案や宿泊施設の比較、複数客室の予約、決済、旅行中の顧客対応まで幅広い領域を対象とし、旅行者の利便性と予約時の柔軟性を高める。大手OTAによるAI活用が、旅行先の検索・提案にとどまらず、予約後の旅程管理や顧客サポートにまで広がっている。

 今回の機能拡充では、各ブランドの特性に応じたサービス強化を進める。総合旅行予約サイトのエクスペディアでは旅行全体の計画・予約、ホテルズドットコムでは宿泊施設の検索・比較、バーボでは貸別荘を利用するグループ旅行の手配や滞在支援に重点を置いた。

AIで現地体験を提案、複数客室や複雑な旅程の予約にも対応

 エクスペディアでは、対話型AIを活用した「Activity Planner」により、旅行者の好みや予約済みの旅行内容に応じて、現地のアクティビティ、レストラン、イベントなどを提案する。旅行者は提案内容を保存し、日別の旅程を作成できるほか、予約可能な現地体験についてはそのまま予約につなげられる。

 宿泊施設に関する質問にAIが回答する「Property Expert」も提供する。施設情報や宿泊者の口コミ、旅行者自身の予約内容をもとに、予約前後の具体的な疑問に対応する仕組みだ。

 予約機能では、航空券、宿泊施設、レンタカーを組み合わせたパッケージ予約の柔軟性を高めた。航空便の到着都市とは異なる都市で宿泊する旅程や、旅行期間の一部だけホテルやレンタカーを利用する手配にも対応する。また、同一ホテル内の異なる客室タイプをまとめて予約・決済し、1つの旅程として管理できる複数客室予約機能も導入する。

 このほか、ビーチ、遊び場、レストランなどを地図上で確認できるファミリー向け機能も拡充する。

 ホテルズドットコムでは、AIを活用した宿泊施設比較機能「AI Compare」を強化した。候補となる複数のホテルを立地、設備、価格、予約条件などの観点から比較し、旅行者の希望に応じて違いを分かりやすく説明する。追加の質問にも対応するほか、自然言語による宿泊施設検索にも対応する。

 一方、貸別荘予約サイトのバーボでは、希望する物件の条件を文章で入力できる自然言語検索を導入。例えば、ビーチに近く、設備の整ったキッチンや屋外の交流スペースがある物件など、複数の条件を組み合わせた検索が可能となり、候補物件が条件に合致する理由も提示する。

 さらに、対象物件を予約時の支払いなしで確保できる「Reserve Now, Pay Later」を今後導入する。予約時にクレジットカード情報を登録することで、支払いを滞在日に近い時期まで延期できる仕組みで、グループ旅行の参加者確定や費用の分担に柔軟に対応する。

 旅行中のサポートでは、AIを活用した音声エージェントが一般的な問い合わせに対応し、必要に応じて対応履歴を引き継いだうえで有人オペレーターにつなぐ。また、チェックイン・チェックアウト時間や入室コード、施設までの道順、ハウスルールなどをまとめて確認できる機能も強化する。

エクスペディア・グループの主な新機能・機能改善
ブランド 主な機能 内容
Expedia Activity Planner AIが現地体験や飲食店、イベントを提案。旅程作成や体験予約を支援
Expedia Property Expert 施設情報や口コミ、予約内容をもとにAIが質問に回答
Expedia パッケージ予約の柔軟化 異なる都市での宿泊や、旅行期間の一部だけのホテル・レンタカー利用に対応
Expedia 複数客室予約 同一ホテルの異なる客室タイプをまとめて予約・決済
Hotels.com AI Compare 立地、設備、価格、予約条件などで宿泊施設を比較
Hotels.com 自然言語検索 希望する宿泊施設の条件を文章で入力して検索
Vrbo 自然言語検索 グループの複雑な希望条件に合う貸別荘を検索
Vrbo Reserve Now, Pay Later 対象物件を予約時の支払いなしで確保できる後払い機能(導入予定)
Vrbo AI音声エージェント 問い合わせへの自動対応と有人オペレーターへの引き継ぎ

遅延便のラウンジ利用も提供、主要AI機能は米国市場で展開

 AI関連以外のサービスも強化する。エクスペディアでは、共通ロイヤルティプログラム「One Key」のゴールド・プラチナ会員を対象に、一定の条件を満たす航空便が90分以上遅延した場合、空港ラウンジの無料利用またはOneKeyCashによる補償を提供する。同行者は最大9人まで対象となり、2027年12月31日までにエクスペディア経由で予約した対象航空便に適用する。

 また、対象となるゴールド・プラチナ会員には、エクスペディアのアプリで予約した航空券の価格が出発前に下がった場合、差額をOneKeyCashで還元する価格下落補償も提供する。

 主要なAI機能の提供地域は現時点で米国が中心となっている。Activity PlannerやProperty Expertなどは米国のウェブサイトやアプリで利用できるほか、自然言語検索も米国向けの英語版で提供する。日本市場への導入時期については今回の発表で明らかにしていない。

 エクスペディア・グループの最高製品責任者(CPO)、シルパ・ランガナタン氏は、旅行はさまざまな意思決定の連続であるとしたうえで、各ブランドでAIを活用し、旅行者が適切な判断を下せるようにするとともに、旅の各段階で個別化された体験を提供していく考えを示した。また、必要な場面ではAIから有人オペレーターに対応を引き継ぐ仕組みも重視している。