観光庁、旅行・宿泊業に個人情報管理の徹底要請 9月訪日客は16市場で前年割れ

kankocho
木村典央長官

 観光庁の木村典央長官は10月21日の定例会見で、観光関連事業者を含む企業への不正アクセスと個人情報流出の可能性が相次いでいるとして、旅行業・宿泊業の事業者に関係法令の順守や個人情報管理体制の点検を求める通知を発出したと明らかにした。HISと、旅行予約サイト「skyticket」を運営するアドベンチャーからは、個人情報保護委員会への報告や影響を受ける可能性のある利用者への連絡、原因究明と再発防止を進めているとの報告を受けたという。

 木村長官は、利用者がパスポートやクレジットカード情報、連絡先などを事業者に預けていると指摘。情報漏えいは利用者の不安を招き、観光産業全体への信頼を損ないかねないとして、早急な対応が必要との認識を示した。観光庁は両社に適切な利用者対応を求めたほか、旅行業・宿泊業の事業者に対し、内閣官房国家サイバー統括室による具体的な注意喚起も周知した。

9月の訪日客は5%減、16市場で前年割れ

 会見では9月の訪日外国人旅行者数も報告された。310万3700人で、前年同月比5.0%減。1~9月累計は3073万200人で同2.9%減となった。9月に訪日客数が3000万人を超えるのは2年連続で、木村長官は1~9月累計が過去2番目の速さで3000万人に達したと説明した。

 23の国・地域のうち、9月として過去最高を記録したのは7市場だった一方、16市場で前年同月を下回った。木村長官は減少要因として、一部市場での航空便数の減少、祝日の並びの違い、航空券の燃油サーチャージ上昇を挙げた。短期的な月ごとの変動だけで判断せず、より長い期間の傾向を見る必要があるとした。

 中国からの訪日客は43万800人で、前年同月比44.5%減だった。減少率は2025年12月以降で最も小さかったものの、前年の国慶節休暇が10月だったのに対し、2026年は9月だった影響があるとして、現時点で回復傾向にあるとは判断できないとの見解を示した。国慶節期間中の動向についても、10月の実績を踏まえる必要があると述べた。

2026年 訪日外客数・出国日本人数(月別)
月 訪日外客数 前年比 出国日本人数 前年比
1月 3,597,881人 -4.9% 1,072,602人 +17.6%
2月 3,466,848人 +6.4% 1,093,250人 -7.4%
3月 3,619,159人 +3.5% 1,518,999人 +6.7%
4月 3,692,364人 -5.5% 1,042,087人 +8.4%
5月 3,560,256人 -3.6% 1,127,482人 +4.7%
6月 3,148,754人 -6.8% 1,090,195人 +3.4%
7月 3,442,310人 +0.2% 1,191,306人 -1.2%
8月 3,098,900人 -9.6% 1,588,597人 -3.6%
9月 3,103,700人 -5.0% 1,481,900人 +6.3%
1~9月累計 30,730,200人 -2.9% 11,206,400人 +3.2%

出典:日本政府観光局(JNTO)。2026年8・9月の訪日外客数、9月の出国日本人数、1~9月累計は推計値。その他の2026年訪日外客数は暫定値。

 11月に予定する外国人旅行者向け消費税免税制度のリファンド方式への移行については、免税店のシステム対応は業界団体から予定通り進んでいると聞いていると説明した。空港での手続きに使うキオスク端末も、税関と空港会社の間で設置準備が進んでいるという。出国時の混雑を防ぐため、旅行者への周知も旅前・旅行中・出国前の各段階で進めているとした。

九州ふっこう応援割、開始直後から予約

 10月に始まった九州ふっこう応援割については、主要旅行会社への聞き取りで、販売前から問い合わせがあり、開始直後に多くの予約が入り、早期に販売上限に達したとの声があったと説明した。現時点では旅行需要は回復傾向にあるとの認識を示す一方、事業の効果は各県の執行状況も踏まえて検証する必要があるとした。

 9月末に開催されたツーリズムEXPOジャパンについては、来場者が18万人を超えたと報告。2026年のテーマ「進化する旅のカタチ」のもと、国内旅行や海外旅行など多様な旅のスタイルを紹介し、旅行・観光の振興に大きな成果を上げたとの認識を示した。

 木村長官は各国の観光大臣らとの会談やラウンドテーブルにも参加した。直行便がない国から日本との直行便を開設し、日本からの旅行者を増やしたいとの声が多く寄せられたと説明。また、各国から日本人旅行者の渡航を期待する声があったとした。