IHG、新ブランド「ノーテッドコレクション」を日本初投入 新宿・銀座に2軒、今後既存ホテルの転換軸に拡大へ

  • 2026年10月1日

独自性を残したままIHGの販売網へ

 IHGがノーテッドコレクションを投入する背景には、ホテルオーナーと宿泊客双方のニーズの変化がある。

 サンディリア氏は、ブランドポートフォリオを拡大する際には、消費者とオーナー双方の需要が交わる「空白」を見極めていると説明。IHGのシステムや販売基盤を利用したい一方、既存ホテルの名称やアイデンティティーは変えたくないというオーナー需要があるとした。同時に、宿泊客の間でも画一的ではない、独自性のある体験への需要が高まっているという。

 同じIHGのプレミアムカテゴリーに属するvocoとの違いについては、vocoを一定のブランド要件を持つ「ハードブランド」と説明。これに対してノーテッドコレクションでは、それぞれのホテルが持つ名称や個性をより維持しながらIHGのシステムに参加できる。

 IHGはラグジュアリー&ライフスタイルカテゴリーですでにソフトブランド「Vignette Collection(ヴィニェット コレクション)」を展開している。2021年のブランド誕生から世界38軒・9305室まで拡大し、さらに46軒を開業予定。日本ではリーガロイヤルホテル大阪とザ・ウィンザーホテル洞爺が開業しており、ホテルマウント富士も開業を予定する。

「ソフトブランド=低コスト転換」ではない

ノーテッドコレクション(銀座) 外観パース

 ソフトブランドは一般に、既存ホテルの個性を残したまま大手ホテルチェーンに加盟できるため、ハードブランドに比べて転換の自由度が高い。

 発表会では、こうしたソフトブランドが改装コストを抑えながらIHGのシステムに参加する手段になり得るのかとの質問も出た。

 サンディリア氏は、一般論としてソフトブランドがブランドシステムへ参加する際の低コストな選択肢になる可能性は認めた一方、今回の2ホテルには必ずしも当てはまらないと説明。新宿では大規模な全面改装を行い、銀座はそもそも新築案件となるためだ。

 その一方、独自性を持つ既存ホテルをIHGのシステムに加える手段として、ソフトブランドが今後のポートフォリオ拡大につながる可能性を示した。

インバウンド減速を懸念せず、新宿ではナイトライフ需要に期待

 足元の訪日旅行市場についても強気の姿勢を示した。直近の訪日客数が前年同月比で9%減少したことについて、サンディリア氏は短期的な不均衡との認識を示し、日本の観光商品そのものの競争力を評価。特に東京では年初来でADR(平均客室単価)が引き続き上昇しているとして、需要への懸念はないとした。

 新宿・歌舞伎町への出店については、国際ブランドホテルが少ないことも進出理由の一つと説明した。ゴールデン街に近く、新宿や東京のナイトライフを体験できる立地を評価している。銀座を含む2ホテルとも、訪日客だけでなく国内旅行者の需要も取り込む考えだ。

日本で11ブランド、100ホテル体制を視野

 IHGは日本でのホテル展開そのものも加速している。9月28日時点で国内65ホテル、11ブランドを展開し、31ホテルが開業予定。開業中とパイプラインを合わせれば100軒に迫る規模となる。

 サンディリア氏は、日本では同ホテルブランドが市場全体に占める割合を約5%として、あらゆるセグメントに成長余地があるとの認識を示した。プレミアムだけでなく、ラグジュアリーからミッドスケールまで幅広く拡大する方針だ。

 IHGは8月には京都市内でガーナー12軒とホリデイ・イン エクスプレス1軒を展開する大型案件を発表しているほか、2028年にはリージェント京都、リージェント軽井沢、シックスセンシズ妙高などの開業を予定する。

 独立系ホテルの個性を残しつつ、グローバルな販売網とIHGワンリワーズの会員基盤に接続するノーテッドコレクション。日本では新宿と銀座という性格の異なる2市場を起点に、既存ホテルのコンバージョンを中心としてどこまで地方都市を含めて拡大できるかが次の焦点となりそうだ。