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テクノロジー投資の構造的な課題
チャン 課題が生じている領域と、実際の投資先との間に構造的なずれがあるからです。
TMCを対象とした調査では、経営幹部の38%が、テクノロジー面の制約を予算不足やOTAとの競争以上に重大な成長障壁だと回答しています。しかし、予算配分を見ると、AIなどの最新テクノロジーへの投資は25%、データ・分析は22%にとどまる一方、マーケティングやブランド開発には30%が割かれています。
背景には、旅行会社がシステムの近代化と利益率の確保を同時に求められているという事情があります。実際、37%の経営幹部が、顧客企業による予算削減や運用コストの上昇を最大の懸念として挙げています。
TMC自身も構造的な課題を認識しています。しかし、必要な投資が、より差し迫った課題への対応によって先送りされている。その結果、実行力の不足が解消されないまま残っています。逆に言えば、こうした構造的な問題に対処できる旅行会社にとっては、それが競争上の優位性になります。
AIはどこで成果を生んでいるのか
チャン AIはすでに実質的な価値を生み出しています。ただ、業界では、どこで成果が出ていて、どこでは出ていないのかが、十分に語られていないと思います。
カスタマーサービス、検索・レコメンド、マーチャンダイジング、不正検知などは、データの質やフィードバックの仕組みが整っているため、AIが着実に成果を上げている分野です。
ただし、こうした成功例があるからといって、組織全体の変革も同じペースで進んでいると考えるのは危険です。APAC市場を対象とした調査では、 アジア太平洋地域の旅行関係者の79%がすでにAIを活用し、97%がその活用範囲を広げようとしています。また、TMCを対象とした調査では、 調査対象となった経営幹部の全員が何らかの形でAIを導入しています。
しかし、「非常に良い影響があった」と回答した割合は44%にとどまります。導入率と成果の間には明らかな隔たりがあり、31%がスキル不足、27%が既存システムとの連携など、導入上の課題を挙げています。
AIは、クリーンなデータと実際の業務フローに組み込まれてこそ効果を発揮します。断片化されたインフラの上で試験的に導入するだけでは、十分な成果は得られません。
AIによって真の商業的優位性を得るには、まず基礎となるデータを整備し、既存システムとの連携を進める必要があります。
外部パートナーに求められるもの
チャン アジア太平洋地域のように複雑な市場では、在庫を利用できることは最低限の条件にすぎません。
旅行会社が外部パートナーに実際に求めているのは、自社だけでは実行することが難しい取り組みを可能にしてくれることです。
APAC市場を対象とした調査で、旅行関係者に外部パートナーへの要望を聞いたところ、 新規事業分野で販売できる在庫、より幅広く競争力のある地域特化型の在庫、柔軟なB2B決済、自動化やセルフサービス機能、24時間365日のローカライズされたサポートなどが挙げられました。
その多くは、単なる「在庫」ではなく、旅行会社の事業を支える機能や対応力に対するニーズです。この背景には、旅行会社が新たな事業領域への進出や複雑化する顧客ニーズへの対応、業務効率化を進めようとする一方で、すべてを自社で構築・運用することには限界があるという現実があります。
また、将来への最大の懸念として挙げられているのが、需要やサービス提供量が急増した場合に対応できるかどうかであり、次いで外部パートナーとのシステム連携の難しさです。こうした課題を解決し、事業拡大を容易にできるプラットフォーム事業者は、単に商品を提供する事業者とは異なる価値を持ちます。