JNTO、高付加価値旅行の海外旅行会社向け商談会「Japan Luxury Showcase 2026」を大阪で初開催

  • 2026年5月28日

 日本政府観光局(JNTO)は5月17日から22日にかけて、高付加価値旅行を取り扱う海外旅行会社を日本に招請し、ファムトリップと商談会を組み合わせたイベント「Japan Luxury Showcase 2026」を実施した。商談会は大阪・ウォルドーフ・アストリア大阪を会場に5月21〜22日に開催。2017年の事業開始以来、東京で行ってきた商談会を大阪で初めて開催した。

■「高付加価値旅行者」とは

 JNTOが高付加価値旅行推進の対象とするのは、訪日旅行1回あたりの着地消費額が100万円以上(国際航空券代を除く)の旅行者だ。観光庁の調査によれば、こうした旅行者は訪日旅行者全体の約2%(59万人)にとどまるものの、消費額全体の約19%(1兆円)を占める。ただし現状では大都市圏への集中が著しく、地方への消費が少ないことが課題となっている。

 消費額と並んで重要なのが志向・価値観だとJNTOは説明する。高付加価値旅行者は旅行を通じて自身の知識を深めたり、インスピレーションを得ることを重視する、旅行経験も豊富で目の肥えた旅行者であり、社会的に高い地位にある富裕層として各分野で影響力を持つ存在だ。

 こうした課題への対応として、JNTOは「ウリ(魅力的なコンテンツ)」「ヤド(宿泊)」「ヒト(人材)」「コネ(海外とのネットワーク)」「アシ(移動手段)」という5つの観点から施策を推進。2023年度から高付加価値旅行専門のチームを組織内に構え、観光庁が選定した全国14か所のモデル観光地を軸に地方への誘客と消費額拡大を目指している。

 本イベントはその「コネ」強化策の柱となる取り組みだ。今回は2つの変更点があった。1点目は大阪・関西万博を機にラグジュアリーホテルの新規開業が相次ぐ大阪での初開催。2点目は従来の2月から5月への開催時期の変更で、北日本での天候面の課題解消とグリーンシーズンの魅力訴求を狙った。また、今回は欧米豪に加えてシンガポールからも初めて旅行会社を招聘した。

■10コースのファムトリップで地方の魅力を体感

 5月17日から20日の4日間、参加バイヤーは観光庁のモデル観光地を中心に設定された10コースに分かれてファムトリップを実施。東北海道、山形、那須、新潟、富士山麓、松本、伊勢志摩、紀伊山地、せとうち、山陰の各エリアで、ラグジュアリー旅行に対応した体験コンテンツと宿泊施設を視察した。

 東北海道コースでは、知床半島のウトロクルーズで船上から野鳥や野生動物を観察。屈斜路湖ではカヌー体験も行われた。参加者からは「野鳥を観察できる素晴らしい機会で、野生動物を見ることができとても嬉しかった」、「川の中で椅子に座ってお茶を飲む体験は、とても幻想的でした」といった声が上がった。アイヌ文化ガイドツアーでは、アイヌの血を引くガイドが英語で案内し、「森に入りアイヌ文化について学べる素晴らしい体験でした。案内してくれたアイヌのガイドの方は知識が豊富で、とても熱意がありました。森や動物、文化への理解が深まる、他にはない素晴らしい内容でした」との評価を得た。

 山形コースでは羽黒山での山伏による修行体験と、居合抜刀術サムライ体験を実施。特に居合抜刀術については「居合神社での居合道サムライ体験は、日本でこれまでに体験した中でも最もユニークで本格的な文化体験のひとつでした。また、クライアントからのリクエストも非常に多い人気の伝統体験であり、自信を持っておすすめできる内容だと実感しました」と、旅行会社としての視点も交えた評価が寄せられた。山伏修行については「文化・精神性・自然が融合した非常にユニークな体験でした。特に、山と信仰、地域文化の結びつきについて理解が深まりました。景色は美しく、地元の食事も素晴らしく、全体を通して本物らしさと心が整うような雰囲気がありました」という声もあった。

■欧米豪・シンガポール16か国の旅行会社40社と国内事業者60社が商談

 商談会には海外旅行会社のバイヤー40社(欧米豪・シンガポールの16か国)と、国内のラグジュアリーホテル・旅館、DMC(Destination Management Company)、運輸事業者のセラー60社が参加。会場には各国の旗を立てたバイヤー席が整然と並び、バイヤー・セラー双方がラップトップや資料を手に活発に情報交換する様子が見られた。

 参加セラーはブルガリ ホテル 東京、フェアモント東京、星野リゾート、ザ・ペニンシュラ東京などの高級ホテル・旅館30社に加え、全国DMC16社、地域DMC11社、運輸事業者3社と幅広い構成となった。

 質疑応答でJNTO担当者は、「2024年からは観光庁と連携して、プロモーションの拡充と受け入れ体制の整備を両輪で進めてきた点が大きな変化だ」と述べた。地方の新デスティネーションへの関心については、「訪日経験のある顧客に対し、まだ知られていない新しい目的地を紹介したいというニーズがとても高まっていると感じている」と手応えを語った。