体験重視と地方志向が鮮明に、AIと口コミが共存する旅行意思決定へ インバウンドレポート

 トリップアドバイザーは、訪日旅行者の行動変化や意思決定プロセスを分析した「2026年版インバウンドレポート」を発表した。体験主導型旅行への移行、地方観光への高い関心、AI活用の拡大など、今後のインバウンド戦略に直結する潮流が明らかとなった。

 調査では、旅行先ではなく体験やテーマから旅を組み立てる旅行者が37%となり、目的地先行型の29%を上回った。さらに訪日旅行においては85%が体験を中心に旅程を構築し、75%が「日本ならではの体験」を予約の決め手と回答しており、茶道や食文化、自然景観などの象徴的な体験価値が訪日動機の中核となっている。ペット同伴旅行や抹茶体験の大幅な伸長も確認され、単なる観光から学びや交流を重視する傾向が一層強まっている。

 地方志向も顕著で、88%が東京・京都・大阪以外への訪問に関心を示し、86%が地方訪問を旅程に組み込む可能性があると回答した。九州、北海道、東北への関心が高く、訪問の決め手はアクセスや情報量よりも「その地域ならではの体験価値」が最も重視された。一方で、言語対応や交通情報の不足、具体的な体験情報の欠如が障壁として挙がり、地方誘客には多言語での情報整備と動線の可視化が不可欠であることが浮き彫りとなった。

 持続可能な観光への意識も高く、68%が主要観光地の混雑に懸念を示し、89%が時間指定入場やオフピーク利用への追加料金を容認、70%が訪問税などの負担にも理解を示した。需要抑制ではなく分散と付加価値化による混雑対策への受容が進んでおり、価格設計と体験価値の最適化を両立する施策の可能性が示唆される。

 旅行計画における情報源では、AIの影響力が拡大し、「以前に比べ有力となった情報元」ではSNSに次ぐ存在となった。64%がAIを重要な情報源と認識する一方、最終的な予約判断では90%が口コミを重視しており、AIが初期の意思形成を担い、口コミが意思決定を補完する構造が明確となった。

 同社は、AIによる旅行計画支援と口コミ基盤を融合させることで、体験の発見から予約までを一体的に支援する方針。体験価値の可視化、信頼性の高いレビュー、多言語対応の強化が、今後の訪日市場における競争力を左右する要素となりそうだ。