ベルリン観光局が来日、「寛容性」アピールで新イベント-東京/ベルリン直行便開設の働きかけも

ドイツ観光局とベルリン観光局はこのほど、ベルリンからの観光使節団の来日に合わせて都内でメディア向けの懇親会を開催した。来日したベルリン観光局代表のブルクハート・キーカー氏は「ベルリンは寛容性と自由の街。ベルリンの壁の崩壊により新しいライフスタイルが育まれ、若者やクリエーターが自由に創作活動に励んできた」とコメント。ベルリンから想起される寛容性や自由をテーマにしたプロモーションを展開していく方針を示した。

その目玉となるのが、今年初開催となる「ベルリン・フリーダムウィーク」だ。ベルリンの壁崩壊36周年を記念し、11月8日から15日にかけて実施する、自由主義と民主的対話をテーマにしたイベントで、会議やワークショップ、交流プログラムや文化イベントなどが行われる。
日本市場は回復基調、多様な観光コンテンツで「選ばれる街」へ
懇親会ではキーカー氏とベルリン観光局国際マーケティング部長のラルフ・オステンドルフ氏がプレゼンテーションを実施した。ベルリン観光局によれば、ウクライナ問題や経済的要因もあるものの、日本人宿泊数はコロナから回復傾向にある。2024年は前年比17.7%増の7万30人泊、2025年1月から7月までは5%増で、オステンドルフ氏は「好調に推移しており、良い傾向」と喜びを示した。
同局では引き続き日本人渡航者に向けた取り組みを継続していく考えで、キーカー氏も「日本人の行ってみたい場所の地図にベルリンを乗せたい」と意欲を示した。
なお、ベルリンの客室数は世界トップレベルの16万室強で、稼働率は76%。このため国際会議開催地としても知られており、ビジネス目的の渡航者も多い。

ベルリン観光局では「Berlin is always now」をブランドスローガンに掲げ、歴史と現代が交差・共存する、常に新しいものが生まれる都市の魅力を訴求しているところ。プレゼンテーションではユネスコ世界遺産、スポーツ、食などの観光コンテンツが紹介された。
世界遺産としては、今年開館200周年を迎える「博物館島」で、2026年初頭にベルリン大聖堂ホーエンツォレルン家地下納骨堂の一般公開が再開。27年春にはペルガモン博物館北翼が再公開され、28年に新博物館、29年にボーデ博物館が改修を終了する見通しだ。
また、「ポツダムとベルリンの宮殿群と公園群」をはじめとした宮殿や庭園については、今後10年間で25億ユーロを投資して保存・修復を進めていく計画を明かした。
スポーツについては日本人選手も参加するというベルリンマラソンを紹介した。ベルリンマラソンは平たんなコースで走りやすく、人気のマラソン。現在は4万5000人の参加者枠を設けているが、来年には5万人まで増やす計画だ。また、2025年11月にはアメリカンフットボールのNFLの公式戦が初開催される。
食については、ベルリン内にはミシュラン星付きレストラン21軒(グリーンスターを含む)があることや、今年5月にスターシェフのティム・ラウエ氏が手掛けるレストランがテレビ塔の回転展望レストランに開業したことを紹介した。
東京/ベルリン線開設に向け、日本の航空会社に働きかけを継続

懇親会ではベルリン・ブランデンブルク国際空港ネットワーク部シニアマネージャーのヨハネス・モールマン氏が、今年で5周年を迎える同空港について解説した。ベルリン・ブランデンブルク空港は70の航空会社が144都市に就航しており、2024年は前年比10.4%増の2550万人が利用した。スカイトラックスによる「ワールド・エアポート・アワード 2025」では、最も改善された空港に選ばれたほか、4つ星空港に選ばれている。
モールマン氏は、直航便のない市場からの旅客数を見ると、東京(羽田・成田)はバンコクに次ぐ第2位で、2024年は7万1000人が訪れていることを説明。今年1月から7月の旅客数は2019年比2%増まで回復しており、「東京はとても大きなポテンシャルを持っている」と強調した。
同氏は本紙の取材に対し、以前から東京からの直航便就航を働きかけていることを改めて説明。ルフトハンザ・ドイツ航空(LH)はハブ空港であるフランクフルトとミュンヘンから日本線を就航していることを踏まえ、「日本の航空会社にアプローチを進めているところ」と話した。
東京/ベルリン線については具体的な話はまだないが、引き続き交渉を続けていく方針だという。空港については羽田・成田ともに希望しているものの、規制が厳しいこともあり、成田が有力との考えを示した。