万博の地でオーストリアの魅力を再発見 3都市・4団体が観光プロモーション

 大阪・関西万博のオーストリアパビリオンにてこのほど、同国の観光局および文化施設、ホテルなどによる観光プロモーションイベントが開催された。ウィーン、リンツ、ザルツブルクの三都市から来日した担当者による最新情報の紹介に加え、葛飾北斎の浮世絵をあしらったグランドピアノの演奏やオーストリア料理の提供を通じて、多面的な魅力を発信した。

オーストリアパビリオン

 ウィーンからは、日本からの来館者が年間20万人にのぼるというウィーン美術史博物館のパウル・フライ氏が登壇。ハプスブルク家が収集した至宝を所蔵する同館の特色に加え、「世界で最も美しいカフェ」と称される館内カフェの魅力や、クリムト関連の特別展など今後の展開を紹介した。

 次に紹介されたリンツは、2014年にユネスコ創造都市メディアアーツ分野に指定されたことから、デジタルアートの中心地として注目を集める。観光局のシュテファン・ゼレンカ氏は、未来型ミュージアム「アルス・エレクトロニカ・センター」や、壁画ハーバーと呼ばれる屋外アートエリア、そして地元菓子リンツァートルテの魅力を伝えた。ブルックナーを称える音楽祭などイベントも多く、滞在中に体験できる文化資源は非常に豊富だ。

 ザルツブルクからは市観光局のモラス彩子氏と、ホテル・シュロス・レオポルヅクロンのカリン・プファイフェンベルガー氏が登壇。映画『サウンド・オブ・ミュージック』公開60周年の節目を迎え、関連ツアーやガラ公演などの特別企画が進行中であることが紹介された。また、今年5月から新たに始まった「ゲストモビリティチケット」についても言及。これはザルツブルク州全域の公共交通機関が乗り放題となるチケットで、州内に宿泊する全てのゲストに提供されるという。利用は宿泊期間中有効で、利便性が向上している点も強調された。

 さらに、ザルツブルク市内にある歴史的宮殿ホテル、シュロス・レオポルヅクロンの紹介では、音楽祭などの開催実績に加え、サウンド・オブ・ミュージックのロケ地としての認知度や文化的背景が語られた。バロック様式の格式高い部屋や花々が咲き誇る庭園など絶好の撮影スポットとしての魅力も訴求した。

 プレゼンテーション終了後には、パビリオン1階にて、浮世絵「神奈川沖浪裏」をあしらったグランドピアノでピアニスト久元祐子氏による演奏が行われた。楽曲はオーストリアにゆかりのある作曲家によるもので構成され、訪問者にとって五感で楽しめるひとときとなった。