週間ランキング、1位はHISの本社移転、新入社員への訓示は2位に

[総評] 今週のランキングでは、2位に大手各社社長の入社式における訓示のまとめが入りました。例年大人気のコンテンツで、2012年から18年までを振り返ると14年と17年以外はその週のランキングで1位となっているほどです。

 それを抑えて今週の1位となった記事は何かというと、エイチ・アイ・エス(HIS)が本社を移転する計画であることをお伝えしたものでした。先ほどお示しした14年と17年は、前者では羽田国際線の再拡張、後者はJTBグループ再統合が1位でしたので、HISの本社移転は、トラベルビジョン読者の皆様にとってそれらに匹敵する話題と受け止められたことになります。

 確かに、1万7000人超の従業員を抱えるHISの本社が移転するというのは大きな話題です。JTBも(日本航空もですが)「天王洲」が代名詞のように使われることがありますし、HISも西新宿の印象があります。

 考えてみると、土地ごとの空気感や文化といったものが存在することは間違いなく、会社の中枢を担う多くの人々がある場所に何年、何十年と通うことを思えば、人や組織がその立地から何らかの影響を受けていたとしてもむしろ当然と感じます。

 具体的には、HISの新本社は「港区」ということで、港区は北は赤坂から南は品川まで、なかには新橋もあれば六本木、麻布十番もあるというなかなかバラエティに富んだラインナップです。実際の場所はまだ不明ですが、果たしてこの本社移転がHISにどのような影響をもたらすのか、非常に興味深く思います。

 ところで、さきほどHISの社員数について触れましたが、気になって調べてみると18年10月末は1万7054人であるのに対し、その5年前の13年10月末では1万1776人であったようで、平均で1年あたり1000名以上増えていることになります。もちろんハウステンボスやホテルなど様々な事業があり、さらに企業買収もされていますので旅行業における単純な増加ではないでしょうけれども、それにしてもすごい数値です。

 一方、1位の社長訓示でご紹介したHIS代表取締役会長兼社長の澤田秀雄氏のコメントでは、512名の新入社員に対し「すぐに辞めないで」「せめて3年はやって」と語りかけられている点が妙に切実に感じられ、社員の出入りはどういう状況になっているのか気になります。

 なお、今週は全日空(NH)と日本航空(JL)の2月の運航実績を掲載しましたが、2社合計の国際線の旅客数が前年を下回っています。手元に蓄積したデータがないため正確には言えないものの、おそらく数年ぶりのことではないかと思われます。

 両社の方面別の動向を見てみるとJLで韓国線が6.9%減、NHもアジア・オセアニア線が6.5%減となっているのが目立っており、JLの韓国線は利用率も13.2ポイント減と急減しており、昨今の日韓関係の悪化が旅行需要にも表れてきたのかもしれません。

 JTBの発表によるゴールデンウィークの予約状況で韓国は8%増となり、他のデスティネーションと遜色ないレベルではあるものの、韓国はアウト/インともに市場全体に影響を与えるほどの規模であり、現在の傾向は大変気がかりです。(松本)

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