てるみくらぶ、BSPの債務不履行か、顧客に混乱広がる

  • 2017年3月24日

24日17時半頃のてるみくらぶ本社前。20人以上の報道関係者が集まった。扉には「臨時休業」の貼り紙が  てるみくらぶの国際航空運送協会(IATA)のBSP精算が滞っている模様だ。関係各所への取材によると3月23日分がデフォルト(債務不履行)となっている状況。BSPでは3月8日から15日までの発券分が23日に精算されることになっていた。

 同社は、ツアーを購入した顧客に対して、代表取締役の山田千賀子氏の名前で「航空券の発券システムが利用できない等の事態が発生しております」などと説明するメールを送信。その中では、発券済みの航空券について「ご利用頂けるかどうか現時点で確認できておりません」としたほか、滞在先のホテルについても「トラブルが生じないことを確認できておりません」と説明。その上で、「大変申し訳ございませんが、上記の点をご理解頂ける方のみ」出発するよう呼びかけている。

「臨時休業」の貼り紙  同社オフィスでは、本誌が確認できる範囲で東京、大阪とも外部から見える部分では消灯しており、東京については臨時休業を知らせる紙を貼り出しているところ。ただし、東京の代表電話番号ではスタッフが応対しており、奥のドアからは光も漏れて見える。また、東京オフィスの前にはテレビなどのメディア関係者が詰めかけ、消費者の姿もあった。

 こうした状況のなか、Twitterなどでは「出発日の朝にメールが届いた」などの声が多数投稿されており、混乱している様子が伺える。JATAによると、24日は16時40分までに約50件の問い合わせが入ったという。てるみくらぶは安価なパッケージツアーで数を集めており、取材中には、真偽は定かでないものの影響の規模が人数ベースで数万人に及ぶ可能性も聞かれた。

 航空券の利用可否については、本来であればeチケットが発券された時点で航空運送契約は成立することとなっており、過去に国土交通省交通局が通達も発出(リンク)。つまり、旅行代金を支払っていて旅行者の手元にeチケットがある場合は搭乗できる可能性が高いと考えられ、発券済みの航空券が利用できるか確認できないという状況は不可解。逆に未発券の場合は旅行代金の支払いが済んでいるかに関係なく搭乗不可能となる。

 てるみくらぶは、上記メールのなかで支払い済み旅行代金の返金などについて、「日本旅行業協会等関係先と協議の上、ご連絡させていただきます」と表記している。このJATAと協議の文言は、営業停止と弁済業務保証制度の利用を想起させるが、3月24日17時現在で経営が破綻したとの情報は入っていない。

 BSPのデフォルトは、旅行会社の事業停止に直接結びつくものではなく、実際にそれを乗り越えて営業を継続している企業もある。本誌は代表電話経由で、そうした可能性を含めた正確な状況の説明を求めたが17時10分現在では返答がない。

 なお、てるみくらぶがツアーなどの情報を掲載していたトラベルコなどのウェブサイトでは、てるみくらぶの情報が軒並み閲覧できない状態になっている。ある会社では、23日夕方の時点で全件を非表示とする操作がてるみくらぶ側からなされたという。