ウィズコロナの現地レポート、アメリカ西部編-世界の「今」を駐在員の視点から

3.ラスベガス

 ネバダ州で発令した自宅待機令により5月には感染状況の進行も和らいだかと思われ、6月4日には一部のカジノ(ホテル)が営業を再開しましたが、ロックダウンが継続されている隣州からの訪問者が殺到した独立記念日(7月4日)あたりを境に状況が再び悪化し、7月にはカウンターバーが再び営業停止となりました。その後8月に入ってからは、日々の感染者増加数が1日あたり1,000人前後から300~400人前後まで安定したと見られています。8月31日時点でのネバタ州合計感染者69,228名、死亡者1,305名となっております。

ホテル(カジノ)

 ネバタ州からの営業許可が出た6月4日以降、続々と大通りであるストリップ通り沿いの大型カジノホテルが営業を再開しております。ホテルにより対応方法は異なりますが、
・チェックインカウンターにアクリル板を設置し、宿泊者との直接コンタクトを避ける。
・入館時に宿泊者の体温チェックを行う。
・館内に消毒液のディスペンサーや手洗い場を設置する。
・客室へ上がるエレベーターでは人数制限(4~6名など)を設け、混雑を避ける。
・携帯電話をルームキーとして利用出来る新システムの導入。
・ブラックジャックやルーレット台にアクリル板を設置する。
・隣り合わせのスロットマシーンは利用不可とし、ソーシャルディスタンスを確保する。
・従業員の健康管理、マスクやグローブの着用を徹底する。
など試行錯誤しながら営業しているのが見受けられます。
 またカジノホテル再開後、数千万、数億円クラスのジャックポットが当たるというニュースも何度か流れています。

ベラージオ・ラスベガス内カジノエリアの様子 サーカスサーカス内カジノエリアの様子
ショー ・ イベント

 エンターテイメントの代名詞だった劇団シルクドソレイユが6月に経営破綻し、2021年の公演再開を目標に奔走している状況ですが、WYNNホテルの人気ショー“ルレーヴ”が活動中止を発表するなどショービジネスにとっては困難な状況が続いています。また大型のイベントは年明けまで続々と中止や無観客での運営が決定しており、
・毎年1月に約20万人を動員するラスベガス最大の展示会と言われるCESが中止。
・今年から本拠地がラスベガスになり、新しいスタジアムが完成したNFLレイダースは今シーズン無観客での運営。
・毎年12月に開催される全米ロデオ選手権が無観客での運営。
と経済的にも大きなダメージを受ける結果となっています。

(参考)国立公園・他観光エリア

 5月末から周辺の国立公園が次々と営業を再開しましたが、未だ全ての施設や観光スポットがオープンしているという訳ではありません。一般客は多数見かけますが人数制限等の規制を設けている公園もありますので、観光バス等の大型車両は全く見かけない状況です。
・グランドキャニオン国立公園 ~ 1グループ10名までの人数制限あり、東側の入口がクローズしており(通り抜け不可)、道路も一部封鎖中
・ヨセミテ国立公園 ~ 事前WEB予約入場制(自家用車のみ・Day use1700台、overnight1900台の入場制限あり)
・イエローストーン国立公園 ~ 1グループ10名までの人数制限あり
・グランドティートン国立公園 ~ 1グループ10までの人数制限あり
・ザイオン国立公園 ~ ミニバス、大型バスは進入不可、園内無料シャトルは予約制で人数制限あり
・ブライスキャニオン国立公園、デスバレー国立公園 ~ 再開中

グランドキャニオン国立公園内の様子 デスバレー国立公園内の様子

 また人気のモニュメントバレー、アンテロープキャニオンがある先住民ナバホ部族の居留区は依然新型コロナウィルス感染が深刻な状況にあり、全ての公園がクローズとなっております。(9月1日の時点で再開段階“レベル1”ですが、“レベル3”まで回復した段階で公園を再開する予定です。)


レストランの様子

 5月には最大で50%の席数利用、1組の最大人数6名までの制限付きでレストラン内での飲食が可能となり、6月18日にはWYNNホテルを皮切りに、感染防止を考慮した新しいシステムにてバッフェスタイル(セルフサービス)のレストランも営業を再開しました。

ルート66の街 キングマンのルート66ダイナーの様子 WYNNホテル内のバフェレストラン

 6~7月にかけて感染者数が急増した為、7月10日に州知事が再びバーを閉鎖する様要請しました。現在は、店内でのソーシャルディスタンスを確保する為、1テーブルごとの間隔を空け、他人との接触を避ける為に使い回しのメニューやテーブル上の調味料を廃止したり、飲食時以外はマスクの着用を義務付けたりなど、レストランごとに様々なアイデアが実施されています。メニューに関しては、テーブル上にQRコードを掲載し、そのQRコードを各自のスマートフォンから読み取りするスタイルが増えてきています。

ラスベガス国際空港の様子

 フライトの発着情報が表示される電光掲示板が皆無だった状態の5~6月に比べ、現在では掲示板一杯にアメリカ国内線のフライト情報が並んでおり、まだまだ通常時には程遠いものの大分回復傾向にあります。空港内の至る所に“マスク着用”と“ソーシャルディスタンスの確保”を呼び掛けるメッセージが出ている事に加え、殺菌や消毒関連の商品が購入出来る自動販売機の設置が目立ちました。


空港ターンテーブルの様子 空港内のハンドサニタイザー 空港内にある自動販売機

 空港内にあるレストラン、ファーストフード、ギフトショップに関しては約半数が営業を再開しておりますが、未だ閉まっている店舗もあります。スロットマシーンは1台づつ空席にするなどソーシャルディスタンスを保ちつつ営業しておりますが、全体的な経済の低下が影響してか、空席が目立ちました。



 サンフランシスコ・ロサンゼルス・ラスベガススエリアについては、6・7月のピーク時の新規感染者数と比較すると落ち着いておりますが、カリフォルニア州内最多感染者数エリアのロサンゼルス郡では依然1,000名から2,000名に迫る1日の新規感染者数をマークしており、再開ロードマップも足踏み状況となっております。アメリカ西部地区に関しては、どの州も感染予防のための各人の節度ある行動が試されている試練の時期はまだ続くと考えられます。

 尚、カリフォルニア州及びネバダ州からの商業車両についての規定等は、9月2日時点、発表がなされておりません。車両チャーター等、もし大人数グループでの移動が必要な場合は、都度現地オペレーターへご確認いただければと存じます。


株式会社トランスオービット
米国本土・ハワイ・カナダ・オーストラリア・韓国に現地法人を有するランドオペレーター
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