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「LINEトラベル」の衝撃から1年、新たに「おでかけNOW」投入

2年目は新サービスでタビナカに本腰
舵取り役の藤原氏に聞く今後のビジョン

-即時配信サービス開始の背景と効果について教えてください

藤原氏 藤原 「LINEトラベルjp」ではユーザーが比較検索後に各旅行販売サイトに遷移してから決済するため、これまでは翌日以降に通知を配信していたが、予約情報のデータ連携を高速化したことで、1つの旅行販売サイト内での購入と同等の速さで配信することが可能になった。ポイント還元を求めるユーザーにとっては、「間違いなく『LINEトラベルjp』経由で購入できたのか」といったことが重要な関心事で、すぐに確認して安心したいと思うはずだが、それを可能にしたことでポイントバックキャンペーンとの相乗効果を得ることができた。

 また、同じく4月に実施した、10人に1人の確率で購入者に1000円分のLINEポイントをプレゼントするキャンペーンも効果を上げた。それは購入完了時の即時通知によって1000ポイントが当たったことを知ったユーザーが、「当たった!」という喜びを友だちとシェアする動きが生まれたからで、キャンペーンの認知度が急速に広がった。予約という行動はもともとクローズドな行為だが、今後はシェアする流れを加速させたいと考えている。

-旅行業界に参入してからの1年間で感じたことは

藤原 全体的に、動きが遅い印象を受ける。例えば接続している企業にポイント還元の協力を求めた場合、日本企業はマーケティング担当者に決定権がないところも多く、決定までに時間がかかる。一方で外資系企業は決定が速いので、結果的には外資系との取り組みが多くなる。

 また、LINEのO2O(Online to Offline)事業では、トラベルだけでなくショッピングやグルメなどの分野でもサービスを展開しているが、そのなかでもトラベルは全般的に動きが遅いと感じる。日本の旅行業界ならではの、良い特徴や悪い特徴があるのかもしれない、とも考えている。

-新たに開始する「おでかけNOW」の開発の背景について教えてください

「おでかけNOW」の画面 藤原 この1年間においては業界のスピード以外に、旅行があくまでも「非日常」のものであることを実感した。「LINEトラベルjp」の1人当たりの利用回数が2.5回にとどまっているのも、その表れと言えると思う。この非日常の壁を乗り越えて「LINEトラベルjp」の利用頻度を高めるための取り組みの第一歩として、6月27日から「おでかけNOW」をリリースすることにした。

 日本において、宿泊や航空券、ツアー、アクティビティーで構成する旅行市場の規模は4兆7500億円くらいだが、それに対して遊園地や温浴施設、日帰りツアーなどレジャー全般に広がる「おでかけ市場」は6兆2900億円に上るとの試算がある。「おでかけNOW」のリリースにより「LINEトラベルjp」を、非日常の旅行に日常のおでかけを加えた、約11兆円の市場に対応したサービスへと進化させることができる。

-具体的にはどんなサービスなのでしょうか

藤原 ユーザーは位置情報をもとに、近くの飲食店や観光スポット、アクティビティーなどの検索や予約をすることができる。新たなアプリをインストールする必要はなく、「LINE」のホームタブにある「LINEトラベルjp」のトップページなどからアクセスして、利用することができる。

 まずは飲食店予約サイトの「OZmall」「一休.comレストラン」、アクティビティー予約サイトの「asoview!」、イベント情報サイトの「ウォーカープラス」と提携してサービスを開始する。将来的にはコンテンツを拡充し、ガイド記事や天気予報なども提供したいと考えている。