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「FSA」トップに聞く:アートツーリスト代表取締役の上原龍男氏

京都を拠点に学術・業務渡航に特化
独自開発システムで学会運営サポートも

-学会運営のサポートは他社でも取り扱っていますか

上原氏 上原 学会やシンポジウムなどの取り扱いは、他の旅行会社でもおこなっている。しかし大手がねらっているのは1000名、2000名規模のスケールの大きな催しで、我々は200名から400名くらいまでの規模をターゲットにしている。全体的に見れば300名以下のイベントの方が多いので、潜在需要も含めてニーズはあると感じている。

-OTAの拡大はアートツーリストにとっても脅威となっていますか

上原 我々には周遊や乗り継ぎ、ビザの取得代行など、手間のかかるスケジューリングをお手伝いできる強みがあり、ここ10年ほどでリピーターも増えている。しかし一方では、若い先生方を中心に、シンプルな旅程ならOTAを使って自ら航空券などを予約する人も少なくない。

 今後はこのような需要にも応えられるOTAのシステムも作っていく予定だ。ただし、オンラインで解決できない疑問や要望が必ずあるはずで、そういった疑問などを持つお客様向けに丁寧な対応をすることで、我々ならではの付加価値をつけていく。OTAと競合するのではなく、そこから“フルサービス”を提供できる顧客へと引き込むための窓口として位置づけている。

 個々のお客様向けの手厚いサービスを提供している例としては、すべてのお客様を対象に外務省が提供する「たびレジ」の代行登録もしている。渡航者以外の同僚や家族なども同時に登録できるので、このことは「安心を売る」サービスと位置づけている。

 また、帰国後の渡航者には「お帰りなさいメール」を送る。メールへの返信から小さな不満やトラブルの事例を拾うことでクレームを減らし、次回の出張に関する情報も拾って、次の対応に活かしている。こうしたきめ細かな対応は、大手にはないセールスポイントだと思っている。

-お客様の利益になることを確実に、また恒久的に続けるということですね。最後に、5年後のビジョンをお聞かせください

上原 若い時は「会社を大きくしたい」と思っていたが、今の目標は「着実に成長していく」だ。私は昨年に還暦を迎えたので、5年後の66歳まで毎年3%あるいは5%と利益が増えていけば、5年間で16%、28%と成長できることになる。Web-Registerによる学会運営サポートは、着実に利益が出るようにしたい。若い人材を集め、育成することにも力を注ぎたい。

-ありがとうございました