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「FSA」トップに聞く:アートツーリスト代表取締役の上原龍男氏

京都を拠点に学術・業務渡航に特化
独自開発システムで学会運営サポートも

-事業拡大や営業などの面で大切にしているものはありますか

上原氏(左) 上原 ポスティングやDMに使用しているチラシで、リピーターへの営業においても、営業マンには必ず持たせている。それは改めて当社の業務内容を説明するためだけではなく、リピーターのその先のお客様に、我々のサービスを紹介していただく際のツールになるからだ。

 ウェブサイトをいくら作り込んでも、それを見てもらえるかどうかは分からないので、実際には紙の方が効果的と考えている。チラシは年4回、4・7・10・12月に作り、毎回5000枚から6000枚を配布している。年賀状は送らず、代わりに12月発行号で年末年始のお知らせなどを伝えている。

-学術渡航などの手配に加えて、学会支援の業務が発生した経緯は

上原 当社の基本的な商材は航空券だが、近年は招聘のための航空券のニーズが高まっている。また、10年ほど前からは、顧客である先生方が、学会やシンポジウムの開催・運営に関わることが増えてきた。そのような背景があり、学会開催のサポートもするようになった。

 かつての学会では、参加登録はFAXでおこない、それを学生がエクセルで一覧表にし、会費は銀行で振り込むのが一般的だった。このような煩雑なやり方で進めていたが、「アートツーリストで一元化できないか」という要望が挙がったので、我々が独自で参加登録のためのシステムを開発した。それが2017年1月にリリースした「Web-Register」だ。

-「Web-Register」の特徴について教えて下さい

上原 学会やシンポジウムの開催が決まると、まずは公式ウェブサイトが開設される。そのなかに参加登録のためのボタンを設け、Web-Registerにリンクしている。Web-Registerを介して参加者は申し込みや取り消し、変更などができ、主催者は受付状況などを確認することができる。我々は参加者の問い合わせにはメールなどでサポートし、主催者には集金した参加費の納入やシステムの面でサポートする。

 Web-Registerは先生方のニーズを汲み取って構築したシステムで、参加登録の受付や参加費の集金、宿泊予約だけでなく、演題投稿をも一元管理できる。学会などの参加登録をオンラインで受け付けている旅行会社はほかにもあると思うが、参加登録と演題投稿の両方に対応しているところは少ないはずだ。

 言語は日英の2ヶ国語に対応しており、支払いはクレジットカードで一括決済できる。そのほか、ゲストのエクスカーションや弁当の数など、細かい希望項目を追加できるオプション機能もついている。

-Web-Registerの登場で営業や業務の進め方は変わりましたか

上原 営業マンにとっては新しい切り口になっている。通常は「次の出張はいつですか」といった感じで営業するが、「こんな学会支援システムがあります」と話をすることで、さらに興味を持っていただくことができる。また、出張時には別の会社で航空券やホテルを予約していても、「このシステムには興味がある」と仰る方もいて、将来の見込み客を獲得できる可能性が高いと考えている。

 ただし、現在は営業マンが通常の業務をしながらWeb-Registerの営業もしているので、まずはWeb-Registerをしっかりマネタイズできるようにし、再来年度をめどに1つのセクションとして確立していきたいと思っている。