週間ランキング、1位はHIS決算、2位は関西エアポート

 今週は、エイチ・アイ・エス(HIS)グループの2016年10月期の連結業績が1位となりました。売上も利益も過去最高と絶好調であった昨年度に比べると純利益が半減するなど苦戦したことになりますが、それでも旅行事業のみで約90億円、全体で143億円という営業利益は大きな数字です。

 お聞きしたところでは、現在のグループ全体の従業員数は約1万4000名とのことですので、営業利益ベースでいえば1名あたりちょうど102万円程度、1ヶ月あたりでは約8万5000円を稼いでいる計算になります。旅行事業に限れば約1万名で約90億円ですから1名90万円、月7.5万円となります。

 ジェイティービー(JTB)グループと比べてみますと、16年3月期の営業利益は161億4700万円、16年3月31日時点の従業員数は2万6646名だそうで、1名あたりでは年間60万6000円、月額5万円といったところでしょうか。

 両グループとも様々な事業を展開している上での数値ですので必ずしも意味のある比較ではないかもしれませんが、売上にせよ利益にせよ1人あたりの額が大きいほど効率がいいことは間違いありません。

 HISは来年度には再び過去最高益をめざすとのことですし、あるいは澤田秀雄氏が社長に復帰され、旅行業以外のビジネスを拡大していくお考えも示されているところで、折しも第4位にはHISがカナダの旅行会社を買収するニュースもランクインしており、先述のような数値が今後どのように変化していくか大変興味深く感じます。

 一方、今週のランキングで意外だったのは第2位の関西エアポートの決算でした。大手旅行会社や航空会社が多くの方に読まれるのは常ですが、空港(の運営会社)の業績が上位に来た記憶はあまりありません。関空と伊丹の運営権を受託して今年から運営を開始した初年度だから注目度が高いという推測は成り立ちますが、それにしても2位というのは異例で首をかしげてしまいます。

 とはいえ、いうまでもなく2空港の後背地である関西は、日本の2大経済圏の1つであるだけでなく、今回の決算でも大きな役割を担った訪日旅行者にとって極めて重要なデスティネーションをいくつも抱えています。

 そしてこれも蛇足ながら日本は海に囲まれており、空路か海路でしか海外との人的・物的交流を望めず、特に人流については空路に大きく依存しています。そう考えると、空港の業績は見方によっては日本の旅行・観光産業の健康診断のようなものかもしれません。

 さて、2016年も残すところあと2週間となりました。トラベルビジョンでは来週24日に年間のアクセスランキングトップ100をお届けし、一旦休刊期間に入る予定です。今年最も読まれた記事は何であったか、予想はつきますでしょうか。ご期待いただければ幸いです。(松本)

▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2016年12月10日0時~12月16日16時)
第1位
HIS、16年度はテロや地震で減収減益-次期は最高益へ(16/12/11)

第2位
関西エアポート、初年度黒字で飾る、訪日増が寄与(16/12/11)

第3位
追い風吹く「一番近い欧州」、政府も支援-極東ロシア旅行(16/12/12)

第4位
HIS、カナダの旅行会社グループ買収、北米事業強化(16/12/12)

第5位
現地レポート:ウィーン、世界遺産の旧市街を街歩き(16/12/15)

第6位
観光庁、読売とタビックスに業務停止14日間、事前発表通り(16/12/11)

第7位
日本とポーランド、航空自由化で合意-香港の以遠権なども(16/12/12)

第8位
日本のクルーズ振興、官民共同でルート形成を-運輸総合研究所(16/12/13)

第9位
日韓交流1000万人に向け関係者団結-JATA「韓国復活」ファム(16/12/13)

第10位
ピーチ、那覇/バンコク線開設へ、2月から毎日-初の東南ア線(16/12/11)