国交省、貸切バス事業者の監査結果を発表、8割が違反

  • 2016年5月9日

 国土交通省はこのほど、今年1月に発生した軽井沢スキーバス事故を受けた緊急対策として、1月19日から3月中旬にかけて全国の貸切バス事業者を対象に抜き打ちで実施した監査の結果を発表した。対象は過去の法令違反などから安全面などについて継続的な監視が必要と考えられる事業者を中心とする310社。このうち何らかの法令違反を確認した事業者数は、77.4%の240社に上った。

 違反の内訳は、主なものでは適正な運賃・料金の収受違反が23.2%の72社で多く、以下は運転手の適性診断の未受診が20.6%の64社、運転者の過労防止に関するものが19.4%の60社、定期健康診断など運転者の健康状態の把握に関するものが17.1%の53社、高齢運転者などに対する特別な指導監督に関するものが13.5%の42社で続いた。そのほか、運行指示書の作成などに関するものが31.0%の96社、点呼の実施に関するものが20.0%の62社と、ともに2割を超えた。

 同省は、違反が確認された240事業者には、監査の実施当日に改善のための指示書を交付。4月27日の時点ですべての違反項目の改善を確認できた事業者は約半数の122社にとどまり、その他は改善に着手中または全く着手していなかったという。同省では1つでも未改善の項目がある事業者に対しては、継続的に呼出監査などをおこない、5月中旬までにすべてを改善するよう求める方針。

 国土交通省の「軽井沢スキーバス事故対策検討委員会」は3月末に、再発防止策について中間整理をおこなったところ。総合的な対策の取りまとめは夏頃を予定している。