現地レポート:西豪州、ワイルドフラワーとワインで誘うマーガレットリバー

  • 2013年12月10日

パースから南へ、ワイルドフラワーでデスティネーション拡大
エコからラグジュアリーまでテーマに富んだ企画が可能

マーガレットリバーとその周辺はユーカリの森林地帯。ペンバートンからは巨木カリーの原生林から南氷洋に抜けるエコツアーが楽しめる

 オーストラリアのプレミアムワインの産地として日本でも認知が高まっているマーガレットリバーは、州都パースの人々が週末や夏の休暇を過ごす場所として絶大の人気を誇るデスティネーションだ。世界的な注目度も上がっており、トリップアドバイザーの「人気上昇中の観光地2013」でも、南太平洋部門の2位にランクインした。9月から11月は誘客力の強いワイルドフラワーも楽しめ、メディア系や直販系の旅行会社が送客実績をあげている。西オーストラリア州政府観光局とタイ国際航空(TG)が11月上旬に実施した研修旅行で、その魅力を確認した。


ワイルドフラワーとワイン
西オーストラリア南部ならではの体験

ルーウィン・エステートはマーガレットリバーを代表するワイナリーのひとつ。約1400名収容可能な芝生の広場があり、レイ・チャールズなど一流アーティストを招いたコンサートも毎年2月に開催

 パースから南へ約300キロ。今回訪れたマーガレットリバーと周辺地域は、インド洋と南氷洋が交わるオーストラリア大陸南西端のエリアだ。パースと同じ地中海性気候だが、雨と土壌の質に恵まれ、緑が豊か。国立公園も多く、移動中はブドウ畑や農場、ユーカリの涼やかな森林、そして変化に富む海岸線やビーチなど、さまざまな景色が目に飛び込んでくる。約150キロ圏内に200軒以上のワイナリーや街、観光地が集まり、適度な距離で周遊できるのもポイントだ。

ワインはもちろん、レストランの食事も評価が高い。西オーストラリアのベストワイナリーレストランに選出されたことも

 ワイン産地としてのマーガレットリバーの特徴は、生産量の7割がプレミアムワインという質の高さ。生産量はオーストラリア全体の5%程度だが、プレミアムワインに限ると3割を占める。「小規模の家族経営のスタイルを守るワイナリーが多く、それぞれの個性が感じられる」というのは、現地在住のマーガレットリバー・ファンの声。

西オーストラリア州の花でもあるグリーン&レッド・カンガルーポー。日本では見られないような花に出会う

 ルーウィン・エステートも、そんな創業時の哲学を貫く老舗のワイナリーだ。5ツ星の質に誇りを持ちつつも気取りがない雰囲気に、オーストラリアらしいホスピタリティを感じる。地域の食材を中心に調理される併設レストランの食事も美味しく、食事時間に組み込めばワイン通でなくても気軽にマーガレットリバーの良さを楽しむことができるだろう。

トリガープラント。虫の振動で花弁の下から雄しべが飛び出して虫に受粉することから“トリガー”の名が付いた

 さらにマーガレットリバーへ呼び込むキーワードとなるのが、ワイルドフラワーだ。西オーストラリア州政府観光局によると、州内には1万2000種(うち、8割が西オーストラリアの固有種)のワイルドフラワーが自生し、7月から12月中旬まで南下しながら各地でその色を咲かせる。

移動しながら側道や沿道で“ワイルドフラワーハンティング”をするのも楽しみ

 南部のマーガレットリバー周辺は9月から11月が見ごろ。研修旅行中(10月31日~11月5日)も、観光地や宿泊施設、移動中の車内から様々な色の花が見られ、ワイルドフラワーハンティングが楽しめた。上質のワインと西オーストラリアでしか見られない花に出会う、まさにマーガレットリバーならではのツアーになる。

 花に詳しい現地在住の日本語ガイドによると、この地域はワイルドフラワーの種類が多いのが特徴。「いろんな種類の花を見つけ、その違いを楽しんでほしい」と話す。地域によって楽しみ方が異なるのもワイルドフラワーの魅力だ。日本発はエバーラスティングのフラワーカーペットの出現が多い北部へのツアーが多いが、南部のツアーも取り組み、誘客力のあるワイルドフラワーの送客期間を広げたい。

※野生の観光素材と同様、ワイルドフラワーも気候等の条件により出現が左右され、毎年同じ場所に同じ時期に咲くとは限らない。現地ガイドやドライバーは地元の観光局等々と協力して、花が咲く場所の情報交換に努めている。