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現地レポート:西豪州、ワイルドフラワーとワインで誘うマーガレットリバー

  • 2013年12月10日

パースから南へ、ワイルドフラワーでデスティネーション拡大
エコからラグジュアリーまでテーマに富んだ企画が可能

エコツアーやウォーキング、グルメなど多様な素材
資源ブームがデスティネーションの価値を向上

トヨタのランドクルーザーを改造した13名乗りの4WDで、でこぼこのオフロードや白い砂地を進む。ツアーは4名から対応可能

 ワイン、ワイルドフラワー以外にも、この地域の魅力は多い。例えば自然のテーマでは、南部森林地帯のペンバートンで地元のツアー会社が国立公園で催行する4WDツアー「ビーチ&フォレスト・オフロード・アドベンチャー」を体験。60メートルを超えるユーカリの巨木、カリーが立つ原生林を抜け、目前に真っ白の砂丘、エアガラップデューンズが現れると、車内から一斉に歓声が上がった。さらに進む先には南極に続く南氷洋。荒々しい波が打ち寄せるビーチを4WDで駆けるダイナミックな体験は、西オーストラリア南部ならではのものだ。

南氷洋のビーチでは、森林のタンニンを含んだ川が海に流れる神秘的な景色も

 ルーウィン岬からナチュラリステ岬まで、インド洋沿いに約135キロ延びる「ケープ・トゥ・ケープ・トレック」のトレッキングでは、また違った自然体験が楽しめる。今回はナチュラリステ岬の近くから出発する3.5キロのミニコースを歩いた。整備された歩道の脇にはユニークな野草や灌木が生え、ワイルドフラワーも顔をのぞかす。ちょうどワイルドフラワーの季節と重なる9月から11月は、トレッキング途中でホエールウォッチングのチャンスもある。

トレッキング途中の休憩ポイントからホエールウォッチング。マーガレットリバーのチーズやアップルサイダーとともに

 もう一つ、ワインの以外のグルメも欠かせない。マーガレットリバーでは、地元のワインには地元の食材をあわせたいという考えのもと、ワイナリーなどが中心となって食材開発にも取り組んでいる。内陸部のマンジマップでは、「ザ・ワイン&トリュフ・カンパニー」がトリュフ栽培をおこなっているほか、地ビールやチーズ、チョコレートの工場、オリーブやチェリー、有機野菜の農場など、ツアーに組み込める素材が多い。ワイン同様に定評があり、シドニーのデパートではマーガレットリバー産の専門コーナーが設けられているという。

ザ・ワイン&トリュフ・カンパニーでは、トリュフ犬による収穫体験の見学とトリュフを用いた食事が楽しめる

 取材中にはマーガレットリバーの魅力を作る側面として「資源ブームによる経済成長で、この地域への投資が進んだ」という話がいくつか聞かれた。食材開発をはじめワイナリーやホテル、レストランではハードとソフトの両面が向上したほか、今回のアクティビティを案内してくれたような地域の良さを打ち出す小規模のツアー会社も増えているという。

イーグル・ベイ・ブリューワリーでは、爽快な景観を前に地ビールの味比べ

 ただし、パース在住20年の日本語ガイドは西オーストラリアの人々について、「歴史が浅いからこそ、昔からの良さを守ろうとするところがある」と話す。現地では、国際的な観光客よりもオーストラリアの人々が楽しむ姿を多く見かけた。地元の人が大切にする観光地だからこそ、その価値を守りながら開発が行なわれ、地域の魅力向上に繋がっているように思える。