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日本航空の破綻と再生、今後の戦略-大西会長 講演採録

  • 2012年3月5日

▽羽田と成田で役割分担-LCCと差別化で積極投資も

JL、カンタスグループ、三菱商事が設立したジェットスター・ジャパンは今年7月から就航予定 JLの今後の事業戦略について大西氏は、まず路線網のあり方として「羽田は内際ハブ」「成田はグローバルハブ」をめざすと説明。羽田については「国際線はビジネス需要を中心にネットワークを構築し、国内線は国際線との乗り継ぎの充実をめざして地方路線の運航を伸ばしていきたい」考えだ。

 これに対して成田では、「B787を活用して従来リーチできなかったマーケットにリーチしたい」といい、これについてはボストン、ヘルシンキ、サンディエゴ線の就航計画を発表済み。今後も「国際線の充実をやっていきたい」考えで、日本発着の需要と海外発着の乗り継ぎ需要を取り込むことで「グローバルハブ」を構築していく方針だ。

 ボーイングB787型機については、1便あたりの座席数は減るものの「1席あたりのコストは(大型と)あまりかわらず、1便当たりのコストを2割以上落とすことができる」ことから、「大型機ではなかなか乗り入れられない路線に対してネットワークを拡張していく」考え。

 一方、国内線では、「鹿児島や沖縄、福岡、札幌、伊丹など様々な空港を活用させてもらい、離島を含めたネットワークの充実もやっていきたいと思っている」と語った。

 このほか、LCCに関する事業戦略については、「基本的にJALは特化したブランドで高いサービスを提供し続け、そういう中でリーチし切れないところに対してジェットスター・ジャパンを活用する」と説明。JLとしては、「倒産前後はまったくできなかった」という機内食やシートへの積極的な投資により、顧客満足度の向上をはかるという。

 なお、営業戦略については、「環境の変化に対して、基本的には素早く対策をとっていくことに尽きる」といい、スマートフォンの普及など通信機器の技術的発展にも対応していきたい考え。また、新規需要の創出と需要の拡大をめざし、新規路線の開設やチャーター便の活用、諸外国や国内各地域とのコラボレーションによる展開をめざす。チャーター便は、2012年度にはアイスランドへのチャーターも計画中という。